一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
中山記念はマイネルラクリマに騎乗
2016/2/25(木)
ダイヤモンドSのマイネルメダリスト(⑤着)は道悪を全く苦にしていませんでしたし、距離も長ければ長いほど持ち味が出る馬。戦前にも書きましたが、最近は気持ちが前向きで、スタートしてからスッと位置を取れますし、道中もなだめるシーンがあるくらい。この感じであれば、どこかで復活の勝利を上げることができませんか。しかし、いつかの函館を思い出すような凄い馬場でした。ダート板とゴーグルを2枚ずつして臨んだのですが、外すタイミングをギリギリまで我慢しながら、何とかゴールまで間に合ったという感じ。ある意味で記憶に残るレースになりました。
この開幕週、土曜は中山で6鞍に騎乗します。3Rのダッシュビームはダートに替わってから頑張れているので、あとは距離延長がどちらに出るか。いずれにせよ、芝で跨った時とは違った結果になりそうです。6Rのスワンナプームは東京でも結果を出している馬ですが、僕のイメージでは中山に替わるのはプラス。能力的には紙一重だと思いますので、ひとつでも上に来られるように立ち回りたい。9Rのマイネルアトゥーは、芝ダートは問わないタイプ。背中が凄くいい馬なのですが、ハミを取ってみたり抜けてみたりと、11月の門別に乗せていただいた際には若さを見せていました。芝の前走でキャリアを積んで、競馬を覚えてくれていれば差はないはず。11Rのプロトコルは、1800mへの距離延長はいいほうに向きそう。コーナー4回の右回りが初めての経験になるので、それとかみ合ってくれればですが、対応してくれるとは思っています。オープンでも通用する素質を秘めているので力が入ります。
日曜も中山で10鞍に騎乗します。中山記念のマイネルラクリマは、一昨年の天皇賞(秋)以来の久々。気がつけば8歳という感じですが、怪我を挟んで休み休み使われてきたので、馬は若くて元気一杯。長期休養明けで相手を思えば楽ではないものの、復帰緒戦をとても楽しみにしています。2Rのウイングリニッジは、距離を延ばした地方交流の前走でしっかり走れました。乾いたダート向きの馬なので、今週の馬場と1800mはマッチしそうです。4Rのマイネルトゥランはブリンカーを着けてからというもの、一戦毎に内容が良化しています。前走は圧巻という勝ち方でしたし、クラスが上がっても十分にやれるのではないでしょうか。
7Rのコスモアルコンは、リフレッシュ効果が見込めそうなタイプ。オープンでも②着がある馬なので、折り合いがスムーズなら粘り込めませんか。9Rのマイネルネーベルはクラスに目途が立つ好内容。競馬が上手になってきましたし、中山コースで立ち回りの上手さを存分に活かしたい。10Rのゲマインシャフトは定量戦が鍵ですが、なかなか雰囲気がある馬。流れに乗せて好位からひと脚という、前走のイメージをそのままレースに持っていきたいです。12Rのノースランドボーイは、去勢した効果が少しずつ表れてきました。前走以上の着順、かつ次に繋がる内容にしたいと思っています。
今週の月曜は子供が振り替えの休みだったこともあり、ひたちなか市のアイススケート場に行ってきました。僕は栃木出身なのですが、市内にスケート場があって足繁く通った思い出があります。意外に体は覚えているもので、最初から戸惑いなく滑ることができました。自画自賛の滑りを撮ってもらえば良かったものの、ついつい夢中になって忘れてしまうという……。少し変わった休日の過ごし方でしたが、とてもリフレッシュできましたよ。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。