一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
力が入る夏競馬最終週
2016/9/1(木)
先週はトーホウエース(3人気②着)が最高着順で、勝つことができませんでした。走り方はダート向きかと思ったものの、スピードはありますし芝が合っていたようです。連闘で土曜新潟7Rに臨むようですが、僕は札幌で騎乗なので、その背に跨れないことが心残り。それでも、千直は向きそうな気がします。BSN賞のアルタイル(3人気③着)はもう少しハミを噛んでいくイメージだったのですが、終始手応えが悪くて反応し切れないままゴールという感じ。結果として先着された2頭が強かったということかもしれません。新潟2歳Sのマイネルバールマン(7人気⑫着)は外枠からでも上手に競馬できましたが、折り合いよくペースも絶好だったにも関わらずアレっという止まり方。返し馬の雰囲気はよく上積みもあったはずなので、気持ちの問題なのか距離なのか……、正直なところ明確な敗因が分かりません。
この土曜は札幌で8鞍に騎乗します。札幌2歳Sのトラストは、この中間は現地に滞在して丹内騎手が調教に乗ってくれています。最初はテンションが高くて大変だったと聞きましたが、今週は落ち着きがあって追い切り動画を見てもしっかり走れています。前走は輸送後すぐの競馬でかわいそうな部分もあったので、改めて頑張ってくれるはず。距離延長と相まって、ある程度は前々で流れに乗せて運びたいです。1Rのマイネルストラトスのここ2戦は距離が忙しかったという印象。ジワッーと運んでも長く脚を使ってくれそうなイメージなので、距離が延びての前進に期待しています。
3Rのグットドディユの前走は自分の時計だけ走っていますが、1分45秒台の決着は速すぎました。権利持ちは揃っていますが、どの馬も押せ押せのローテなので当日の状態ひとつでチャンスはあるはずです。8Rのダブルフラワーは札幌の洋芝が合っています。テンションが高いので滞在も向いていますし、前々で自分の競馬をして勝たせてあげたい。9Rのコスモカナディアンも前走は時計が速すぎたようです。乾いたダートのほうが向く馬で、馬場と立ち回りひとつでチャンスもありそう。12Rのコスモメリーはコーナー4つのコースがベストの馬。2走前の福島のようなレースを心掛けて乗るつもりで、この条件であれば差はないと思います。
レース後に大移動があり、日曜は新潟で7鞍に騎乗します。新潟記念のマイネルミラノは、函館でしっかり追ってから輸送して新潟に滞在しています。今週は軽めの調整でしたが、いい雰囲気という報告を受けました。脚質的に同型の兼ね合いは鍵ですが、マイペースでの逃げが理想として、そうならなくとも前々で競馬をしてあげたい。時計が掛かる馬場が理想ですが、今の状態であれば57.5キロでも勝負になるはずです。
1Rのワインアンドダインはデビュー2戦が390キロ台と体がない馬で、減らずに出てきてくれることが理想。スタートがあまり速くないので、新潟の外回りコースは合っていると思います。2Rのタケルアヴァロンの前走はチークピーシズ着用が効いていました。今回はブリンカーにすると聞いており、いいほうに向いてくれるのではないでしょうか。同じコースの2走目で勝たせてあげたいところ。7Rのマイネルツィールの前走は、僕が勝たせてもらったレースで差のない③着。ここ3走は馬体重が減っているため新潟滞在で調整されており、この馬も何としても決めてあげたい一戦です。
あっという間に夏競馬も最終週。土曜競馬後に羽田経由で新潟への移動が残っていますが、例年までに比べても今年はたくさん飛びましたね。悪くない2ヶ月間だったとは思うものの、先週のように勝てないケースもありましたし、今週を乗り切れば大好きな中山開催が待っています。幸い、土日メインは本当に期待していますし、3歳未勝利は勝たせてあげたい馬ばかり。終わり良ければ……となるように、今週も全力を尽くします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。