一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勝ち星を上積みしたい中山最終週
2016/9/29(木)
先週はコスモカナディアン(4人気)の②着が最高着順。残念なハナ差ではあったものの、昇級緒戦であの内容ですから、力をつけていることは存分に見せてくれました。タックボーイ(2人気③着)は2走目で大分気負っていました。前半力んだ分の0秒1差で、もう少しフワッと走れればすぐに勝てる馬だと思います。オールカマーのカレンミロティック(7人気⑨着)は、4角手前までは本当に理想どおり進めていました。しかし、いざ勝負所で追い出すと急に走りがバラけてしまって、坂下からまたハミを取って伸びるという不可解な競馬。かなり期待して臨んだのですが、正直なところ明確な敗因が分かりません。凄くいい背中でフットワークも素晴らしいので、メルボルンCで是非とも巻き返してほしいです。
この土曜は中山で7鞍に騎乗します。2Rのハルネセジールは小柄な牝馬も初戦から頑張ってくれました。大きな上積みがあるかは分かりませんが、一度競馬を経験したことによって道中の行きっぷりは違ってくるはず。同じコースでさらに上位を目指します。5R(2歳新馬)のマイネルアムニスは中間によく乗せていただいて、シッカリと仕上げることができました。動きも抜群で初戦としては万全なので、勝ち負けを意識して乗りたいです。
7Rのシンボリネルソンはいつも一生懸命に走ってくれる馬。器用なところがあって、東京や新潟よりも中山コースのほうが合っているイメージ。人気ほどの差はないと思うので、今回も上位を目指して頑張ります。10Rのミライヘノツバサは重賞や北海道の1000万で頑張ってきた馬。最終週で荒れてきた馬場も合いそうですし、皐月賞で乗せていただいたので特徴も把握しています。11Rのペルソナリテは追い切りにも乗せていただきましたが、馬に大分落ち着きが出てきました。以前は気難しかったのですが、そういった面を見せずに動きも反応も良かったです。金曜にゲート練習をして万全の態勢で臨みます。
日曜も中山で6鞍に騎乗します。2Rのマイネルスフェーンは北海道で乗せていただいて好感触を得ました。中山2000mも合うと思うので、上位争いを期待しています。6Rのマイネルパッセは中山コースが合っている馬。折り合いに気をつけて脚をタメる競馬をするつもりです。7Rのコスモボアソルテはここ2戦の内容が、500万での力上位を示すもの。馬の気持ちが前向きに戻ってきているので、それを活かした競馬で勝たせてあげたい。
9Rのクイントゥープルは新潟2歳Sでも差のない競馬をしていました。中山コースは初めてですが合うと思いますので、自己条件の牝馬限定戦となれば上位に持ってきたいです。12Rのコスモカウピリは札幌で勝ち切った前走が強かった。2走前からの変わり身にビックリしました。クラスこそ上がりますが、上手に走らせてあげられればいきなり通用するだけの勢いがあります。
先週は日曜最終レース後にジョッキーイベントがありました。僕はアツアツ熱湯レースへの参加でしたが、戸崎騎手との接戦で優勝することができたんです。沢山のファンの皆さんに残っていただけましたし、やっている側も凄く楽しかったです。そして、月曜の休日は国立新美術館にダリ展を観に行ってきました。なかなか理解することが難しい変わった絵なのですが、色んな方向から観る、その人によって見方が違うという作品に考えさせられるところがありました。美術館はとても落ち着けて集中できる場所なので、今回もいいリフレッシュができました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。