一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
朝日杯FSはトラストに騎乗
2016/12/15(木)
先週土曜のチャレンジCをマイネルハニー(9人気)で勝つことができました。スタートから良かったものの、思っていたとおりの2頭が行ってくれて理想的な展開。ペースは流れていたのですが、あの位置で上手く馬がハミを抜いて走ってくれたのが勝因です。長くいい脚を使えるセールスポイントを活かすため、早めに仕掛けたことも良かったのだと思います。戦前に馬体重を注意しながら運動量を増やして…ということも書きましたが、マイナス8キロで走りが軽かったように感じました。年内に3勝目を重賞で挙げることができたので、来年が楽しみになりました。
マイネルサージュ(2人気①着)はハミを換えていた効果で、道中折り合って上手に競馬をすることができました。当初は弱い部分もあった馬ですが、使う毎に芯が入って驚くほど良くなっています。あっという間にオープン入りですが、この馬も来年が相当楽しみです。日曜は初めて乗ったエルヴス(10人気)で勝利。返し馬から物見もせずに凄く素直で、スタートが抜群に速かった。リズムを崩さずにそのまま走りきれたことが勝因です。これから競馬を覚える必要もあるので昇級即とは言えませんが、この時期に勝てたというのは馬にとっても大きいと思います。
この土曜は中山で8鞍に騎乗します。ターコイズSのマイネグレヴィルはハンデの53キロは歓迎ですが、1600mは少し忙しいかもしれません。ロスなく前々で運びたいので、内目の枠順がほしいところ。立ち回りが重要な一戦になります。2Rのマイネルストラトスは、競馬で二度乗った感触から中山1800mは合うと思います。札幌戦以来の休み明けがどうかですが、今の未勝利なら十分に通用するはず。6R(2歳新馬)のサウンディングベルは今週の追い切りに乗せていただいて、まだ芯が入っていない感じがあるものの、凄くいいモノを持っています。初戦は何とも言えませんが、先々は間違いなく走ってくる馬です。
9Rのマイネルエパティカはよく東京で勝てたという印象で、中山コースのほうが合うはず。スタートが速いので距離短縮も問題ありませんし、前々につけて自分のリズムで運びたい。10Rのコスモカナディアンは前走も悪い運びではありませんでしたが、時計が速かったのかなという印象。厩舎サイドから引き続き状態は絶好と聞いています。かなり期待している馬なので、器用に立ち回れる面を活かしてクラスに目途を立てたい。12Rのウインマハロは帰厩してからの3週、ずっと調教に乗っています。仕上がりの良さは感じているので、久々でテンションが上がっている面に気をつけて乗れれば、1000万でもそんなに差はないはず。
日曜は阪神で6鞍に騎乗します。朝日杯FSのトラストは前走後から調教を工夫してもらっており、最終追い切り後に「馬の後ろで我慢させて長目から追い切りました」と栗東から好感触の連絡。2週前にも書きましたが1600mは合っていると思うので、馬の力を信じて自分のリズムで走らせるつもり。G1なので相手は当然強いのですが、この馬も能力はヒケを取りません。とにかく、僕が上手くコントロールしてあげられるかどうか。タメてキレる馬が多いので、脚質的なアドバンテージはあると思っています。
8Rのマイネルバサラは前走も期待していたのですが、休み明けの部分が大きかった。使って順調に良くなっているはずですし、関西圏への輸送も馬体面でプラスに出てくれませんか。9Rのカフェリュウジンはキレるタイプではないので、持ち味である渋太さを活かす競馬がしたい。能力は高い馬ですが、久々と相手関係は気になるところです。10Rのマイネルクロップは斤量59キロがどうでしょう。とはいえ、ずっと重賞を使ってきているので、実績がある距離でこの馬らしさを見せたいですね。
先週の更新でホープフルSを目指しているコスモスについて書かせてもらいましたが、火曜に川崎で河津先生とお会いして調教の話になったものの「何の癖もないし、追い切りに乗らなくても問題ないよ」ということで、仕上げは完全にお任せすることになりました。普通キャンターで併せ馬ができるくらいで、競馬を二回使ってもいい意味でおっとりしているという話。今週も結果を残して、更にいいムードで最終日を締めくくれるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。