
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
東京新聞杯はマイネルアウラートに騎乗
2017/2/2(木)
先週はピアシングステア(8人気)で勝つことができました。この馬にして悪いスタートではなかったのですが、そこからは意外に進まなかったので、無理に動かず折り合いに専念してリズムを大切に乗ったことがあの勝ち方に繋がりました。思い描いたとおりの競馬ができて、最高に気持ちが良かった。一方、根岸Sのノボバカラ(7人気⑯着)はダートスタートで後肢を滑らせ、そのタイミングでトモを痛めてしまいました。出遅れたにしても進んでいかなかったので気にはなったのですが……。大事に至らなかったのは幸いとはいえ、いい結果にならず申し訳ない気持ち。ひとつ確かなのは、芝スタートのコースのほうが合っています。

この土曜は東京で6鞍に騎乗します。6R(新馬)のムードンは調教に乗って良さそうな部分も感じましたが、まだ集中力を欠いており、体の使い方がもう少しという段階。使って良くなるタイプだと思います。8Rのアキトプレストは気性的に難しく、なかなか結果が出なかったため今回は去勢明け。調教は良さそうで、いつ走ってもおかしくない雰囲気。ここで結果が出なくとも続けて乗っていきたいです。9Rのマイネルラプティスは、昇級緒戦とはいえ少頭数で競馬がしやすそう。持ち味である長くいい脚を使わせてあげたいです。
10Rのコスモジャーベの前走は、展開的にもチグハグなレースをさせてしまいました。使われて状態はかなり良くなっていたので、巻き返しに力が入る一戦。11Rのマイネオーラムは、安定して好状態をキープできています。東京コースがプラスとは言えませんが、勝手知ったる馬なのでいい部分を引き出してあげたい。12Rのマイネルバサラは、状態的にやっとらしさが戻ってきました。この馬も東京コース向きとは言えないものの、そこは乗り方でカバーしたいと思っています。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。東京新聞杯のマイネルアウラートは本当に馬が充実しており状態の良さが目立ちます。相手こそ強くなりますが、凄く立ち回り上手で東京コースでもいい競馬ができていますし、自信を持って勝ちにいきたい。6Rのコスモピクシスは休み明けを二度使って、そろそろ調子を上げてきそうな頃合。夏場の内容から力はあるので、状態さえ上がれば大きく変われて不思議ありません。12Rのマイネルエスパスは、久々の前走が折り合いもついて最後にもうひと脚を使える好内容。1000万にも目途を立ててくれたので、引き続きいいイメージで乗ってきます。

先週の更新で話題にしそびれてしまいましたが、昨日(水曜)の川崎記念はコスモカナディアン(6人気③着)に騎乗しました。強いメンバーだったので、とにかく道中は馬の後ろで折り合いを付けて、無駄に動かないことを心掛けました。枠の利でコースロスなく乗れたとはいえ、かなり力をつけています。何と言っても4歳ですから、まだまだ頑張ってくれると思います。早い段階で賞金を加算して、また交流G1でコンビを組みたいです。

今日(木曜)はこれから目黒雅叙園で行われるNARグランプリ2016の表彰式に出席してきます。川崎の河津厩舎所属時に札幌2歳Sを制したトラストが最優秀ターフ馬に選ばれたため。中央に転厩してから勝利こそないものの、どこかでまた重賞を勝つチャンスが訪れるはず。終わって見れば馬も充実の一年となるように、この賞に恥じない結果を目指して頑張っていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。