一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
土日とも中山で重賞に騎乗
2017/3/23(木)
先週はマイネルバサラ(2人気)で勝つことができました。戦前にも書いたとおり、体調が上がってきて今は本当に充実しています。枠の並びが良く、前走は出して掛かり気味になったので、そのあたりの修正も利きました。道中の折り合いこそが最後の上がり勝負に対応できた要因ですね。マイネルビクトリー(8人気②着)は自分の型を崩さずに臨んだ結果。内容が良く、敗れはしても納得のレースでした。マイネルヴンシュ(5人気②着)も色々なところに気をつけて、上手くいったレースだったのですが……。相手が強かったと割り切って、次のチャンスで改めて勝利を目指します。一方、ファルコンSのマイネルバールマン(7人気⑩着)は、いつもならここから踏ん張ってくれるというタイミングで反応なし。状態は悪くなかったように思いますし、今回の一戦だけで判断するのは難しいところです。
この土曜は中山で8鞍に騎乗します。日経賞のマイネルサージュは今週の追い切りに乗せていただいて、硬さもなくとてもスムーズな走りで状態は良さそうでした。もちろん相手は強いのですが、自分の走りができれば差はないと見ています。前走は3000mで力みすぎてしまって、更に外から上がって行った馬に釣られて収まりが利かなかった。重賞の2500mとなれば展開も違ってくるので、あの競馬を教訓に工夫して挑みます。1Rのルマノーヴァは追い切りに乗せていただいており、動きが随分良くなってきました。既走馬相手でもチャンスがあると思っています。2Rのブランシュはごちゃつくと良くないのですが、スムーズなら前走くらい頑張れる馬。とにかくテンションが高いので、返し馬などでどこまで落ち着かせられるかもポイントです。3Rのコスモメイプルは、ここ2戦は小倉で頑張って走っていました。スタートが安定しないので、決めて流れに乗せれば中山でも差はないはずです。
4Rのピンキージョーンズは前々で上手く立ち回れば渋太い馬。僕が乗った新馬当時からは随分成長しているイメージです。9Rのウォーブルの前走は行き脚がつかずにほぼ最後方から。7頭立てで本来の渋太さを活かす競馬なら踏ん張りきれませんか。10Rのゲマインシャフトは、時計が速くなっている中山のダートが気になるところ。馬体が絞れつつ良くはなっており、馬場や展開がかみ合えばもうひとつ前進がありそうです。12Rのダイチトゥルースは終いの末脚がある馬というイメージ。ダイチの大知とも言われそうなので、いいところを引き出してあげたいですね(笑)。
日曜も中山で9鞍に騎乗します。マーチSのコスモカナディアンは中1週で中間に乗ってはいませんが、変わらず好調と聞いています。今度は重賞になりますが力はありますし、ハンデ戦というのもいいと思います。上手に乗って勝たせてあげたいですね。4Rのマイネルエフォートは乗り味がいい馬で、ここまでの成績が不思議なくらい。初コースがいいほうに向けば、グッと着順を上げられませんか。8Rのコスモコレクションは久々の1200mがいいほうに向きそう。一度使った効果と相まって前進に期待しています。
9Rのフジマサエンペラーは何度も同じレースに乗っており、中山が上手で力がありそうなイメージ。週末までに研究して良さを引き出してあげたい。10Rのマイネオーラムはいつも言いますが中山でこその馬。実績を思えばハンデも手頃なので、何とかここで勝たせてあげたい。12Rのマイネルラックはダートに替わってから良さが出ていますね。関西圏の1000万で即座に結果を出している馬でもあり、二度目の騎乗を楽しみにしています。
なかなかハードなローテからの3日間開催が終わり、今週は本当に疲れました。小ネタになるようなこともせず、火曜日はとにかくのんびり過ごしました。その甲斐あって週末に向けて徐々にテンションも高まってきました。大好きな中山開催でこれだけのラインナップに乗せていただけるのですから、感謝の気持ちを忘れずに勝ちまくりたいです!
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。