一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
NHKマイルCはトラストに騎乗
2017/5/4(木)
先週はオニノシタブル(3人気)で勝つことができました。縦長で流れているなと思いながら道中はいつもの位置で競馬。それにしても抜け出すまでが楽で速かった。具合も凄く良かったですし、東京1400mの走りにマッチしてきましたね。そして、②着も3回ありましたが、とりわけウインユニファイド(2人気)は何とかしたかった。メンバーの中でも力は上と思っていましたが、エンジンのかかりが遅くて道中追い通し。厳しいかなというタイミングからもうひと伸びしてくれましたが、持っている能力を思えば歯痒い結果。次こそはスッキリと勝たせてあげたいです。一方、青葉賞のマイネルスフェーン(5人気⑨着)は久々の影響でパドックから馬が気負っていました。返し馬のテンションも高く、さらに2400mでペースを思えば厳しい展開になりました。強敵相手に悲観する内容ではありませんでしたし、まだまだこれからの馬です。
この土曜は東京で8鞍に騎乗します。5Rのウォーブルの前走は道悪が堪えていました。自分の型に持ち込みたいタイプなので東京替わりはどうかも、少頭数も相まって力を出せる展開になってくれませんか。8Rのマイネルディアベルは一度使って今回はピッタリの条件。年齢的なものも感じさせませんし、展開ひとつで変われていい馬です。10Rのマイネルサージュは、さすがに日経賞は相手も強かったですし、そんな中で間隔が空いていた分もあったと思います。東京2400mで勝ってきた馬でもあり、課題の折り合いさえクリアできればいい勝負になるはず。
11R(プリンシパルS)のマイネルラプティスは、休み明けの前走で馬が良くなっているのを感じました。切れるタイプではないので、持ち前の先行力を活かすような競馬をしてあげたい。12Rのアッキーは中山で500万を勝たせていただいて、昇級の前走は馬込みで頑張っているように見えました。東京でも頑張れていた馬なので、なるべく砂を被されないような位置で流れに乗せてあげたい。いいイメージを持っていますし、牝限定の自己条件なら頑張ってくれるはず。
日曜も東京で10鞍に騎乗します。NHKマイルCのトラストは皐月賞でも折り合い面はよく上手な競馬ができており、惜しむらくは時計が速すぎました。距離的にはやはり1600mが合っていると思います。スタートが上手な馬なので、今回もある程度は前々のいい位置が取れるはず。持ち味を全て出し切れれば十分に通用するというイメージ。僕にとって思い出のレースでもありますし、4年前の再現ができるように頑張ります。2Rのコスモクウェンチは、中山1200mだと忙しい感じ。ゲートの中が落ち着かないのでスタートに気をつけて、東京1400mであれば十分勝負になるはず。
3Rのキューンハイトも中山コースはやや忙しい。東京コースで流れがかみ合えば勝ち負けに持ち込めていい馬です。4Rのエスティームの前走は最後までやめずにしっかりと走ってくれました。デビュー戦以来ですが、急かさずゆったり運べる東京コースは合っているはず。状態も上がっていると聞いています。5Rのマイネルツァイトの前走は道悪で競馬にならなかったという感じ。凄く能力は高い馬なので、続けて使うことで競馬を理解して、乾いた馬場や左回りとかみ合えば変われるかもしれません。
6Rのシュピールカルテは、ここのところで馬が力を付けてきたと聞いています。昇級で相手は強くなりますが、走り慣れたコースで頑張ってくれるはず。
9Rのペルソナリテの前走は、阪神への輸送で減ってしまった分でしょうか。東京のこの条件であれば大きく崩れることはない馬。中間乗っていませんが、動きは良くなったと聞いています。10Rのマイネルトゥランは東京2100mという条件が一番合っているようですね。勝つときは驚くほど強く急激に力を付けている印象もあるので、自分のペースで流れに乗せるいいイメージで臨みたいです。
今週は水曜日の乗馬苑でトレセンジョッキーパーティーというイベントがありました。とても天気が良く、体験乗馬やバーベキューで楽しい時間を過ごすことができました。僕達もなかなか交流できる機会がありませんし、ご参加のファンの皆さんには喜んでいただけたようで何よりです。直接コアな質問をいただけたりもする、このようなサービスは重要ですね。今後もできる限り参加したいと思いますので、機会がありましたら、是非お申し込みください。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。