一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アイビスSDはブライトチェリーに騎乗
2017/7/27(木)
福島最終週は3勝して締めくくることができました。コスモジャーベ(2人気)は前走と同様にうながしても道中でハミを取っていかない面があり、前半ジッとして勝負所に懸けた格好。3コーナーからの合図には反応してくれて、降級の力で押し切ることができました。以前のガムシャラさとは反対に今は抜けてしまう感じがあるので、クラスが戻ってそのあたりのバランスが課題になります。コスモナインボール(5人気)は、ここしかないという番組で何とかしたいと思っていました。まさに描いていたとおりの競馬で勝つことができたので、会心のレースとしか表現がありません。
トッカータ(1人気)は調教に乗せていただいて、幼くて難しい面を把握できていたのが良かった。道中は苦労しましたが、仕掛けてからは素晴らしい反応。ハミをどうしようかなど先生と相談しながらでしたし、人気を背負っていたので喜びもひとしおでした。そして、マイネルハニー(1人気②着)は色々考えて乗りましたが、結果的に勝ち馬も強かった。惜しむらくは、思っていたよりも逃げたダノンメジャーが進んで行かず、途中から自分で動いたとはいえ上がりの競馬になりすぎたこと。それでも2番手で我慢が利き、後半はシッカリ走れていたので、この経験を次走以降に活かしたいです。
開幕週の土曜は新潟で9鞍に騎乗します。1Rのシガールの前走は新馬らしく時計が遅い組み合わせ。今度は牝馬限定戦でもあり上積みに期待しています。3Rのマヤノオラティオはテンションが高い馬なので、中1週で状態面の維持が鍵になりそう。体が減らないことが理想で、やはり落ち着いていてほしいです。4Rのアシュランスの前走はゲートで待たされて煩くなり、出遅れてしまったことが誤算。あれがなかったらと思うと悔やまれます。中間はゲート練習もこなしているので、上手に流れに乗せて今度こそ押し切りたい。5R(2歳新馬)のマイネルゲルトナーは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、気持ちが前向きで初戦から走れる態勢。一方で、使えばより上積みが見込めそうなタイプと感じています。
6Rのラッキーパンチは前走も頑張ってくれましたが、モマれるのが良くないという話。枠にもよりますが、被されない自分のリズムで走れる位置取りを心掛けたい。7Rのピンキージョーンズはメンバーが強い東京コースでもあと一歩という競馬。コースも合っているので何とか勝たせてあげたい。8Rのテンキセキは以前に1600mで乗せていただいて、短い所が合いそうな印象を持った馬。降級しての牝馬限定戦で、流れに乗せていければチャンスがありませんか。10Rのペルソナリテは、緩い流れで先行した前走が思ったほどの脚が使えませんでした。1000万なら上位の力がある馬ですし、得意とも言えるこのコースなら改めて頑張ってくれるはず。
日曜も新潟で10鞍に騎乗します。アイビスSDのブライトチェリーは、追い切りで初めて乗せていただきましたが凄く動きが良かった。重たい馬場も苦にせず状態面の良さを感じました。このコースは走り慣れていますし、枠などにもよるでしょうが力は出してくれると思います。1Rのマイネルセッカの初戦は思っていたよりも苦しい競馬。もう少し時間はかかるかもしれませんが、使った上積みがありそうなタイプです。2Rのキューンハイトは合うとは言えない福島でもいい位置につけられて、最後まで頑張ってくれました。新潟コースのほうが合うイメージもあり、立ち回りひとつという段階です。5R(2歳新馬)のハピネスメーカーは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、坂路でコースでそれぞれ好感触でした。初戦としては申し分ない態勢で、9頭立てというのも組みしやすいと思います。
6R(2歳新馬)のシーズラックも今週の追い切りに乗せていただきましたが、トレーニングセール出身とあって乗り込み十分で気持ちが前向き。この馬も初戦から頑張ってくれそうです。9Rのコスモヨハネは久々かつ1400mなので流れに乗せてあげられるかが鍵も、500万なら力は上の馬。新馬からずっと乗せていただいており、特徴は完全に把握できています。10Rのシェアードは被されると良くないため、流れに上手く乗せてあげることが鍵。降級でスピードは上位なので、スタートに気をつければいい競馬になるイメージです。12Rのマイネルルミノーソは芝の新馬で乗せていただいた馬。東京よりも新潟のダートコースは合いそうで、ハナに拘らずとも前々で運んであげたい。
一番といっても過言ではないほど好きな福島コースから今週は新潟への開催替わり。中山から東京への開催替わりの際も複雑な心境をよく書くのですが、直線の長いコースは仕掛けのタイミングが難しく、馬の力が明確に出てしまうので自分にとっては鬼門……。ただ、暑さに負けないように走り込んで、例年以上ともいえるくらい体力面には自信があります。色々やりましたが、夏バテ防止にはランニングが本当にオススメ。福島で掴んだいい流れをキープできるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。