一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
菊花賞はマイネルヴンシュに騎乗
2017/10/20(金)
先週は勝つことができず、2度の③着が最高着順でした。マイネルプリンチペ(2人気)は競馬を分かってきましたし、初戦に比べれば状態も上がっていました。相手が強かったこともありますが、使いつつ力をつけていくタイプだと思うので悲観していませんし、次走も上積みがあるはず。コスモロブロイ(9人気)は気難しい面があるのですが、それを前に向けて走らすことができたと思います。とはいえ、まだまだ集中力に課題があります。続けて乗れれば違ってきそうな感触がある馬で、次のチャンスではもう一歩前進させてあげたい。府中牝馬Sのゲッカコウ(12人気⑨着)はもの凄く遅いペースに泣かされたという印象。馬は良くなっておりオープンでもやれる感触を得ましたが、あそこまでヨーイドンの競馬になってしまうと厳しい。毎回、レースで力を出し切るだけの集中力はついてきたので、ここからは条件と展開ひとつだと思います。
この土曜は東京で9鞍に騎乗します。富士Sのマイネルアウラートは寒くなってくる時期に調子を上げてくるタイプ。ここ2走はあまりにもという内容でしたが、気候的にそろそろ違ってくるとは思っています。ただ、一連の走りからも道悪はあまり得意ではない印象……。そんな中でも、この馬らしさは見せてほしい一戦です。2Rのバトルローアは、初戦がまだまだこれからという内容。コース替わりと牝馬限定戦で、まずは流れに乗せる競馬をしてあげたい。4R(新馬)のロイヤルオペラは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、芝が向きそうでなかなかいい走りをしています。初戦でイキナリとまでは言えませんが、先々走ってきそうな感触があります。
7Rのテンキセキは時計があまり速くなってほしくないタイプ……。続けての1600mは悪くないと思っているので、この馬の特徴を活かす競馬をしてあげたい。8Rのコスモピクシスの前走は2000mが忙しかった印象。距離が延びるのはプラスで時計もかかったほうがいいというタイプ。クラス2戦目と相まって着順は上げられると思っています。9Rのコスモイグナーツは追い切りに乗せていただいて状態面の上積みを感じました。前走はキレ負けしてしまったので、今週の馬場は味方になりそう。少頭数にしてメンバーは揃っていますが、適性面と立ち回りで前進を目指したい。
日曜は京都で5鞍に騎乗します。菊花賞のマイネルヴンシュは1週前追い切りに乗せていただき、シッカリと負荷をかけ状態面の良さを感じました。その後は早目に栗東に入り、今週も順調にきていると聞いています。あまり外だと嫌だったので、3枠⑥番という枠はいいところを引けました。時計が速くなることを思えば、道悪もかえってプラスに出てくれませんか。掛かる馬ではなくスタミナもあるので、距離が延びてのコントロール面は問題ありません。ある程度は流れに乗せて、最後の直線で叩き合いになるような展開が理想だと思っています。相手は一気に強くなりますが、この馬にもってこいの舞台なので勝利を目指して頑張ります。6Rのマイネルブロッケンは2走前の阪神で速い時計に対応してくれて、改めて好感触を掴めました。馬込みの中でも怯むことなくどんな競馬もできますので、今回も差のないレースになるはず。日曜最初のレースで勢いをつけたいところです。
来週も土曜が東京、日曜は京都という番組です。アルテミスSはタイドオーバーに騎乗する予定で、カシオペアSのマイネルハニーが日曜のメインになります。1週前追い切りに乗せていただきましたが、かなり良くなっているので今から楽しみ。次回の更新で直前の感触も書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。