一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アルゼンチン共和国杯はマイネルサージュに騎乗
2017/11/1(水)
先週は日曜京都で2勝することができました。マイネルバサラ(7人気)はいつも頑張ってくれる休み明け3走目。時計が速い馬場は心配していたのですが、砂を被るのを嫌がる馬なので、あまりの不良馬場に弾かれている感じとなり、キックバックを気にしなかったのも大きかった。ハイペースに戸惑わず、上手に競馬してくれました。マイネルパラディ(4人気)は札幌の洋芝をこなしていた馬で、道悪でもまるでノメるところなし。時計のかかる馬場が合っていますし、接戦を凌いでくれたように根性もあります。一方、アルテミスSのタイドオーバー(14人気⑪着)は4コーナーをいい雰囲気で回ることができて、一瞬オッと思わせてくれました。着順ほど内容は悪くありませんでしたし、これから少しずつ力をつけていくはずです。
今週は3日間開催、その初日になる金曜は福島で5鞍に騎乗します。2Rのキサラギコマチは夏の福島以来ですが、気のいい馬で休み明けを苦にしなそうなタイプ。同じコースの3戦目で変わり身があってほしいです。3Rのマイネルネッツは気難しい面があり、ここ2戦は人気を裏切っている格好。500万で上の力は持っていますが、使い込んでいいタイプではなく、気持ちがある段階で何とかしたい一戦ではあります。9Rのサムワンライクユーは3走前の同コースでいい競馬をしてくれました。頭数も手頃で今回は前進を期待しています。10Rのマイネルパンドーロは1コーナーまでの距離がない1800mで、スタートしてからの立ち回りが鍵。枠順の助けがほしいところでもあり、前半で流れに乗せて渋太さを活かす競馬が理想です。
土曜は東京に戻って9鞍に騎乗します。1Rのマイネルパブリックは成績的に強気なことは言えませんが、ダート替わりで前進に期待しています。2Rのコスモロブロイは、集中して走りさえすれば前走(③着)くらいは頑張れる馬。やっと乾いた馬場でやれるのもプラスに働くはずで、タイプ的に続けて乗せていただけるのも有難いです。3Rのコスモグラトナスはダート戦が案外だったので芝のレースに戻ります。広いコースで距離が延びるのはいいと思うので、3度目の騎乗で良さを引き出してあげたい。
4Rのラヴァーズインメイは距離を短縮しての2戦目。前走は踏ん張りも違ったので、もう一歩前進させてあげたい。5R(新馬)のポートナイトサイトは先週にゲートから乗せていただきましたが、かなり前向きで仕上がりの良さを感じました。スタートが速くてスピードもあるので、ダート短距離でイキナリ力を出してくれそう。7Rのマースチェルは、力はあるのですが気難しさが能力を妨げています。広いコースで気分良く走らせてあげられるか、そこにつきると思います。
8Rのマイネルツァイトの前走は、一度使って状態が上がっており盛り返してくれた。コースも合っているので、3走目でもう一段上がってくれることに期待しています。9Rのコスモジャーベは、もともと1000万でも上位に来れていた馬。間隔こそ空いていますがコースは向いており、少頭数で競馬もしやすくなりそうです。12Rのマイネルクラースはダートに替わった2戦が本当に強い競馬。今回も同じコースですし、1000万に入っても力は上だと思っています。3連勝させてあげたいですね。
日曜も東京で8鞍に騎乗します。アルゼンチン共和国杯のマイネルサージュはとにかく折り合い面がポイント。道中我慢して走れた時は確実に末脚を使ってくれます。前走は不利があって可哀想な競馬でしたし、スムーズな立ち回りで前進を目指します。かねてから重賞でもと思っている馬なので、ハンデ戦と相まって上位に食い込めませんか。3Rのコスモフェリークの前走は相手が悪かったことにつきます。一戦毎に馬も進歩しており、今度こそは決めてあげたい。5R(新馬)のキョウエイダブリンも先週にゲートから乗せていただき感触を得ました。気持ちが前向きで新馬から頑張ってくれると思います。
7Rのコスモクウェンチは使いつつ調子を上げるので、休み明けで状態面がどうか。クラスに慣れれば500万でもやれるとは思っている馬です。8Rのコスモヨハネは実績がある1600mに戻って競馬はしやすくなるはず。前半タメて末脚勝負が板についてきたので、願わくば展開面も向いてほしい。10Rのマイネルトゥランは、最近の息遣いが気になるところ。ただ、乾いた馬場でやれそうなのはこの馬にとってプラスです。
日曜の京都遠征に始まり、火曜は門別の北海道2歳優駿でマイネルアンファン(7人気④着)に騎乗。前述どおり金曜福島から東京なのでなかなか移動がハードですが、そんな間の息抜きに今日(水曜)はこれから大好きな葉加瀬太郎さんのコンサート。素晴らしい演奏を聴いて、3日間開催を乗り切る英気を養ってきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。