一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
貪欲に勝利を目指します
2018/3/1(木)
馬は頑張ってくれているのですが先週も勝利はなし。中山記念のマイネルハニー(7人気10着)はゲートの中に入ってから落ち着かずガタガタとしてしまって、いいスタートが切れませんでした。ただ、リカバリーして道中は流れに乗れており、あそこまで負けてしまう馬ではないのですが……。思えば跨った時からいつもよりおとなしかった印象で、ここ数戦で一生懸命に走ってくれた疲れがあったのかもしれません。この結果によりオーストラリア遠征は見送ることになりましたが、立て直せばまだまだ将来がある馬。改めて大きいレースを目指していきたいです。
この土曜は中山で9鞍に騎乗します。2Rのシリウスインパクトの初戦はスタートの出が悪かったので、2戦目の慣れと距離延長に期待しています。気持ちが前向きになってハミを取っていけるようであれば勝ち負けに加われませんか。4Rのマイネルユキツバキは本当にあと少しのところまできています。上手く流れに乗せて今度こそ勝たせてあげたい。6Rのコスモレリアも、あとひと押しという段階。中山コースのほうがより合うので、東京をパスしてここに照準を定めてきました。
8Rのマイネルツァイトの前走はいい競馬をしてくれましたが上位組が強かったという印象。この馬も中山向きなので、結果を出したいところです。9Rのコスモピクシスは、改めてこの馬の形が分かってきました。展開に左右されてしまう脚質ではありますが、タメれば思っている以上にキレるのでコース替わりを前向きに捉えたい。12Rのマイネルエスパスは北海道では芝で走ってくれましたが、ダートでも全く問題ない馬。かねてから休み明けのほうが向く印象があるので、フレッシュな今回は頑張れると思います。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。1Rのスガノスマイルは追い切りに乗せていただきましたが動きがいいですね。1800mダートに替わるのもかみ合いそうなイメージを持ちました。レースには初めて乗りますが期待しています。5Rのハヴアサニーデイの初戦はついて行くのに忙しい競馬になっていましました。距離延長と相まって、次に繋がる内容にしてあげたいと思っています。
8Rのアッキーは力がある馬ですが、何時も気持ちひとつというタイプ。とにかく集中を途切れさせずに走らせてあげたい。牝馬限定戦というのはいいですね。9Rのコスモナインボールはスタートを決めて自分のリズムで走らせてあげたい馬。2走前はゲートで待たされての出遅れが痛かったので、前半の運びにはとりわけ気をつけたい。10Rのコスモカナディアンの前走は重賞(東海S)で後続を6馬身離しての2着。持っている地力はやはり凄いですね。ムラ駆けの気があっても、調子が良くなければあのような競馬はできません。コース実績もあるので結果を出したい一戦です。
なかなか勝てずに考えてしまうことも多いのですが、今週は気持ちを切り替える意味でも国立新美術館(六本木)にビュールレ・コレクションを観に行ってきました。大好きな印象派の画家の展覧会で、何もかも忘れるくらい見入ってしまいました。2月14日に始まったばかりで5月7日までと期間があるため、少なくとももう一回は足を運んでしまいそう。素晴らしい作品によってしっかりと息抜きができたので、貪欲に勝利を目指してまた頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。