一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
スプリングSはマイネルファンロンに騎乗
2018/3/15(木)
先週も2勝を上げることができました。マイネルビクトリー(1人気)は少頭数にしては流れる展開とかみ合って上手く立ち回れましたし、やはりこの馬は距離があってこそ。改めて1000万を勝つのに時間がかかりましたが、クラスが上がってもと思わせてくれる内容でした。コスモインザハート(3人気)も思っていたとおりに距離延長がプラスに出ました。器用かつ勝負根性があるので、最内枠もマッチしたという印象。これからまだまだ良くなっていく馬です。
中山牝馬Sのゲッカコウ(10人気6着)はいい内容でしたが、54キロならもう少し伸びると思っていたのも事実。オープンに入っても頑張ってくれており、何とかどこかで勝たせてあげたい。昨日、ダイオライト記念のマイネルバサラ(3人気3着)はG1馬をどうにか負かすつもりで乗りましたが、同斤量でもあり現時点では地力の違いを感じました。ただ、前2頭が一気に加速したところで置かれてしまっただけで、この馬も最後の直線は止まってないんです。メンバーひとつで交流重賞は勝ち負けになるという感触を得られました。
この土曜は中山で9鞍に騎乗します。フラワーCのキープシークレットは矢作厩舎の馬で、いつもチャンスをいただけて有難いです。距離は1800mが良さそうですし、レースまでにシッカリと研究して臨みます。1Rのアンシンカブルは初戦の感触が悪くなかった馬。中山向きのイメージがありますし、1800mで上手く折り合いをつけられれば前進できると思います。4Rのマイネルアンファンの前走(4着)は間隔が空いていた分ではないでしょうか。それでも最後はシッカリと脚を使ってくれており、2戦目の今回は流れに乗って行けそう。もっと上の着順を目指して頑張ります。5Rのマイネルイノメはブリンカーを着けてから安定していますね。今なら中山マイル戦も合うはすで、改めて勝ち負けを意識している一戦です。
6Rのサンクエトワールも中山で距離が延びるのは合うと思います。前走が370キロと小柄な馬なので、願わくば馬体重は減らないでほしい。8Rのコスモピクシスの2000mは若干忙しいイメージがあるものの、捌きやすい8頭立てというのはいいですね。使える脚は把握しているので、あとは少しでも展開が向いてほしい。10Rのエネスクは先週の追い切りに乗せていただきましたが、間隔を空けたことでフレッシュになっています。走りたいという気持ちを感じましたね。動きも軽くて状態は良さそうなので、自ずとこの条件なら力が入ります。12Rのヴィーグリーズは初めて乗せていただいた東京戦の感触がすごく良かった。中山コースも問題ないはずで、楽しみにしている一戦です。
日曜も中山で6鞍に騎乗します。スプリングSのマイネルファンロンは今週の追い切りに乗せていただきましたが、久々を一度使って力強さが増しました。とりわけ気をつけたいのは前走があまり良くなかったゲート。力むところがあるため行きたい馬が多い組み合わせは歓迎で、ポンとスタートを出して流れに乗せてあげればいい競馬になる感触はあります。2Rのマイネルアーリーは今回が初ダート。能力を感じる馬でもあり、ここでかみ合ってくれそうな気がしています。
8Rのウォーブルは間隔が空いていても問題ないタイプ。中山1800~2000mがベストの馬なので、あとひと押しを乗り方で利かせてあげたい。9Rのマイネルメリエンダは、運びは悪くなかった前走の反応が案外。クラスでも上の力はあるはずなので、馬を信じてより良い立ち回りを目指します。10Rのマイネルバールマンは前走が芝の阪急杯でなかなかの内容。調子がいい証拠でしょうね。もちろんダートは問題ありませんし、状態の良さとハンデ、あとは乗り方でやや忙しい1200mを補ってあげたい。
あっという間に3月も中旬。競馬学校で模擬レースに乗っていた新人ジョッキーがデビューし、3歳新馬も終わりが近づいていることを思えば本当に早いです。今年は北海道の雪がすごく例年ほど2歳馬に乗りに行けていませんが、そろそろ次の世代にも目を向けていかなければなりません。そんな弾みにもなるように、何とか今週は皐月賞の権利を取り、賞金を加算してダービー出走まで見据えられれば最高です。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。