一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
マーチSはコスモカナディアンに騎乗
2018/3/22(木)
先週はワンダーラジャ(3人気)で勝つことができました。レースVTRを観て研究したイメージと丸山騎手に聞いたイメージが一致し、思っていたとおりの馬でした。走っていても力が上だったという印象で、本当にいいタイミングで乗せていただけました。スプリングSのマイネルファンロン(6人気3着)は1800mの外枠だったので、ポジションを意識して流れに乗せたという感じ。その分か前半力んで、最後はハナ差での権利獲得になりました。この競馬で課題も見えましたし、距離が延びるのはいいはずなので、これから色々と考えて皐月賞に臨みたい。フラワーCのキープシークレット(13人気12着)はダートで勝ち上がった後の挑戦だったので、なかなかスピードに乗れなかった。初めてのコースでもありましたし、馬にとっていい経験になったのではないかと思います。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。日経賞のサイモントルナーレは78戦目にして初めての騎乗。歴戦の12歳馬で頭が下がる思いですが、1頭でも多く負かす姿勢は忘れません。3Rのラルーナはまだ体が緩いところがあり、前半流れに乗れるかどうかが課題。距離が1ハロンも延びるのはいいはずなので、3戦目でもうひとつ前進させてあげたい。5Rのマイネルユキツバキは相手関係と展開のかみ合いひとつという段階。今度こそ勝たせられるように頑張ります。6Rのマイネルヘミニスのここ数戦は、競馬から逃げるような姿勢で力を出し切れていません。戦法を変えるなどして、次に繋がる内容を心掛けます。10Rのマイネルエスパスの前走は休み明けで頑張ってくれました。使われた上積みがあるはずで、昇級でも相手なりに頑張ってくれそうなイメージ。スムーズな立ち回りを一番に考えて乗ってきます。
日曜も中山で10鞍に騎乗します。マーチSのコスモカナディアンは内側に上手く潜り込めるような枠順が希望。どうしても外を回ると脚がタマらない感じがするのです。東海Sの内容からも力があるのは間違いなく、前走時も状態は良かった。ハンデ戦でもあるので、枠に応じた立ち回りにつきると思います。1Rのハッピーメモリアルの初戦はスタートが案外で、その後も周りを気にし躊躇していました。競馬慣れが見込めれば前進できると思います。2Rのウサギノダンスの前走は負けて強しの内容で、改めて力が入ります。3度目の騎乗になるので何とか勝たせてあげたい。
3Rのバトルガニアンの前走は、不良馬場でも初ダートの感触が良かった。少しでも乾いてくれれば前進できる感触です。4Rのマイネルスカイの前走はいい内容だったように見えました。血統的にも縁がある馬なので、休み明け2戦目で前進がありませんか。5Rのコスモレリアの前走は、ひと息入れて馬に落ち着きが出た上での完勝。中山コースが合いますし、昇級でもいい競馬になる感触です。
7Rのオウケンスターダムは前回乗った感触が良かった馬で、改めてチャンスをいただけて光栄です。素直で一生懸命に走ってくれるので、相手なりに頑張れると思います。9Rのマイネルユニブランは、時計がかかる馬場は歓迎というタイプ。自分で競馬をつくれるので、この少頭数を活かした乗り方をします。10Rのコスモナインボールの前走は最後の踏ん張りが案外。今にして思えばメンバーが強かったのでしょうか…。中山であれば2000mも問題なく、巻き返せる力は持っています。
今週は火曜から突然として気温が低くなり、調教もかなり寒かった。都内などは雪が降ったそうですね。僕は家族で一人だけ花粉症ではないのですが、気温の変化と相まってなかなか厄介な季節です。ジョッキーはそんなことも言ってられませんし、依然として僕の体調はバッチリですが。この週末あたりから中山競馬場の桜が綺麗だと思いますので、寒暖の差には気をつけて応援よろしくお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。