一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
プリンシパルSはコスモイグナーツに騎乗
2018/5/3(木)
先週はマイネルクラース(4人気)で勝利。返し馬から具合の良さを感じ、今回もスタートだけだなと思っていました。どうしても一歩目は速くないため押して出して、その後も強気に立ち回ってみましたが、最後まで全く脚色は衰えず。4歳馬は降級があってもう一度準オープンを走れるそうなので、いい時期に勝つことができました。青葉賞のトラストケンシン(12人気5着)は調教で感じたとおりに能力が高い馬でした。まだまだ良くなる余地を残しているように思うのでこの先が楽しみ。スイートピーSのロフティフレーズ(3人気5着)も同様ですが、より一生懸命になりすぎる面があるため、極端な位置取りになってしまうのが現状。経験を積んで流れに乗れるようになれば、もっと競馬の幅が広がるはずです。
この土曜は東京で9鞍に騎乗します。2Rのマイネルニュースは初戦も人気になっていたように能力を感じる馬。10ヶ月の休み明けがどうかですが、ダート替わりと相まっていい面を引き出せれば。4Rのマイネルテンプスの前走はいい競馬ができました。使いながら状態も上がっているので、引き続き頑張ってくれると思います。9Rのエニグマは前走が凄い脚だった。1ハロンの距離延長になりますが1600mも勝っている馬で、道中リズム良く走らせてあげられれば同じような末脚を使ってくれるはず。
11R(プリンシパルS)のコスモイグナーツは追い切りにも乗せていただきましたが、抜群の動きで状態面は間違いありません。前走は道中で落ち着きが見られたので、枠の並び次第ではハナにこだわらなくても対応できるはず。京成杯以来の2000mですが、上手くコントロールできそうな雰囲気にあります。12Rのアッキーは嫌気がさすとヤメてしまう面があるので、いかに気を途切れさせないように走らせられるか。むしろ間隔が空いてフレッシュな時のほうが頑張れるタイプ。このコースでも好時計かついい内容で勝っており、本当に馬の気持ちひとつです。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。8Rのオールドクラシックは、前回乗せていただいた時も東京コースで2着。2000mは問題ないイメージを持っており、久々を使われて力が入るタイミングでチャンスをいただけました。改めて勝利という結果を出せるように頑張りたい。12Rのウサギノカケアシは調教にも乗せていただいていますが、どちらかと言えば実戦向き。展開に左右されてしまうタイプも、東京1400mは一番合っていると思います。
今週は初めて乗せていただく馬が多いので、あまり話題に触れられずすみません。テン乗りの馬は先入観を持ち過ぎずに臨みますが、必ずレースVTRで研究して、気になる面がある場合は乗ったことがあるジョッキーに癖は聞くようにしています。説明するのは難しいのですが、返し馬も重要なポイントだと思っています。話題は変わって、水曜夜は東京ドームに安室奈美恵さんのコンサートに行ってきました。このタイミングでチケットが当たったことに運がありましたし、心に残る公演で感動したのはもちろん、素晴らしいパワーをもらうことができました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。