一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
おのずと力が入る週末
2018/5/25(金)
先週は勝つことができず、リープフラウミルヒ(8人気3着)が最高着順。スタートが決まり自然にハナに立っていいペースで運ぶことができたものの、先着された2頭が強かった。止まっていないのに差されてしまったので仕方ありませんが、体調の良さがあの内容に繋がったのだと思います。初めて騎乗する馬も多かったのですが、東京コースの厳しさを味わった2日間でした。重賞の騎乗こそありませんが、何としても巻き返したいダービーウィークです。
この土曜は東京で9鞍に騎乗します。2Rのロイヤルジュビリーは、休養前の一戦を度外視とすれば未勝利なら力は上の馬。むしろフレッシュな時のほうが走れそうなタイプなので、折り合い面に気をつけて臨みたい。3Rのマイネルアンドゥミの前走は休み明けの分だったと思います。着順こそ目立ちませんが、使われての良化があればもう少し走れていい馬です。5Rのマイネルキラメキの前走は悪くない内容も、先行馬が止まらない馬場と展開でした。どうしてもスタートで流れに乗っていけないため、この中間はゲート練習をやっています。それで行き脚がつくようなら前進できると思っています。
6Rのウサギノダンスは追い切りに乗せていただきましたが、少し間隔が空いた分はありそう。使ったほうが良さそうな気配はしているものの、元より相手なりに頑張ってくれるタイプ。昇級でどこまでやれるか楽しみです。8Rのタックボーイは前走が格上挑戦。それでも内容は悪くなかったので、自己条件に戻れば頑張れると思います。少なくとも500万でやれるという目途は立ててあげたい。10Rのコスモヨハネの前走は、行きたい馬がいなかったので流れに乗せていきました。出たなりの位置で進められますし、もう乗り方ひとつという段階です。11Rのドリームドルチェは追い切りに乗せていただきましたが凄くいい馬ですね。コントロールも利きますし、東京1400mという舞台はピッタリという印象。せっかくいただけたチャンスを結果でお返ししたいです。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。2Rのヘキギョクの前走は、この馬にとってベストであろうという運び方が分かりました。上手く流れに乗せて、今度は決めたいところです。5Rのネコワシは間隔こそ空きましたが相手なりに走ってくれるタイプで、今回は流れに乗せて運びたい。展開がかみ合えば500万でも通用する末脚を持っています。8Rのマイネルカレッツァの前走はかつてのフワフワする面から一転して、一生懸命すぎるくらいハミを取っていきました。なので、しばらく着けていたチークピーシズを外して臨みます。1000万では力が上だと思っている馬で東京コースも絶好の舞台。巻き返しに力が入ります。9Rのマイネルラフレシアの前走は8着でしたが、その内容に復調の兆しを感じました。ハンデ戦も合うと思うので、さらに次へと繋がるレースができればと思っています。
今週の休日はお台場にキュリオスを観に行ってきました。シルクドゥソレイユの公演は密かによく足を運んでいます。今回の演出も凝っていましたが、僕はどうしても人それぞれの動きが気になってしまうんです。どういったトレーニングが結びついているのかと……。切実に舞台裏を知ってみたいです。話は戻り、ダービーが終われば来週から2歳新馬が始まります。例年、相性の良い番組ではあるのですが、今年もヴォイスオブジョイというマル外の期待馬がスタンバイしています。来週に改めて書きますが、早くからいい動きをしており初戦から楽しみ。母系にサンデーサイレンスが入っている注目の血統です。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。