一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
エプソムCはマイネルフロストに騎乗
2018/6/7(木)
先週はコスモロブロイ(4人気1着)で勝つことができました。早く先頭に立ってしまうとフワッとして性格的に難しいところがあるのですが、今回は2着馬がいい目標となり内からハミを取って差し返しくれました。普通の馬なら下がってしまうシーンを盛り返すように能力は高いのですが、昇級してからも課題はつきまといそうです。期待していた2歳新馬もそれぞれ頑張ってくれましたが、とりわけ日曜5Rはレベルが高かった。上位馬は重賞級というか、新馬では考えらない時計で、例年以上に開幕週を目標に仕上げてきた陣営が多かった印象です。内容は悪くなかったので次走こそはと思っていますし、改めて今週から1頭でも多く勝ち上がらせていきたい。
この土曜は東京で4鞍に騎乗します。6Rのエンチャントメントは一戦毎に良さが出てきています。デビューまで時間がかかってしまいましたが、元々いい素質を持っており、前走からもうひとつ状態は上がったという印象。東京開催でメンバーも揃っていますが、勝ち負けを意識できる段階です。11Rのローズプリンスダムはチークピーシズを着用しての競馬になりますが、1週前にしっかりと負荷をかけて、今週はその好調を維持するべく調整。自分から行く気が抜群で、動きとしては本当に申し分ありませんでした。レースでは初めての騎乗も能力を感じますし、オープン特別のハンデ戦なら結果を出したいところです。
日曜も東京で6鞍に騎乗します。エプソムCのマイネルフロストは昨夏以来で間隔こそ空いていますが、2週続けて好時計が出ていますし、追い切りのVTRからも動きは良さそうに見えました。かねてからの感触から条件は合うはずで、雨が降って少し時計がかかりそうなのも歓迎材料。自分としても何週ぶりかの重賞騎乗で楽しみにしています。4Rのヴィルジェンは成績こそ目立ちませんが、先々を見据えてでも目途を立ててあげたいところ。前走からも芝の長距離は合ってそうな気がしています。5R(2歳新馬)のマイネルモーディグは1週前の追い切りに乗せていただきました。使いながらのタイプかもしれませんが、いい面を引き出しつつ次に繋がる競馬をしてあげたい。7Rのトルマリは前回乗せていただいた際に、東京1400mダートとはマッチしている印象を受けました。あまり時計が速くなるとどうかという部分があるので、馬場状態は気になるところ。とはいえ、楽しみにしている2度目の騎乗です。
6週連続のG1が終わり、2歳新馬が始まり、来週には函館競馬が開幕します。いよいよ夏を感じる番組になってきました。今年も福島から新潟と本場中心の騎乗を予定していますが、函館・札幌とそれぞれ北海道に行く機会があるかもしれません。楽しみにしているレースや新馬もいるので、具体的なスケジュールが読めてきましたら、改めて当コラムに書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。