一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
北海道で楽しみが膨らみました
2018/7/12(木)
先週はケイツーリラ(6人気)の3着が最高着順。1700mになって前半の忙しさはありましたが、ダート適性を再確認できたという内容。最後は信じたとおりの脚を使ってくれましたし、少しでも展開が向いてくれればという段階です。七夕賞のマイネルフロスト(6人気8着)は前半いい形で流れに乗れましたが、3コーナーで仕掛け出してからがアレッという手応え……。思っていたような反応ではなく、復調しきれていなかったのかなというのが率直な感想でした。幸い、この馬に合う番組が続きますので、使いながらの復調に期待したい。先週は土曜からオジュウチョウサンの挑戦があり、ビックリするほどファンの皆さんの熱気を感じました。とりわけ日曜は続けての騎乗で体力も要しましたが、いい雰囲気でリズムよく乗せていただきました。今週こそは肝心の勝利を積み上げられるよう、引き続き全力で臨んでいきます。
この土曜は福島で9鞍に騎乗します。1Rのアセンダントはとても素直でコントロールしやすい馬。初戦から思っていたように一生懸命に走ってくれたので、慣れが見込める2戦目で改めて力が入ります。2Rのコハルチャンの前走は追走にこそ苦労しましたが、最後はなかなかの脚を使えています。ダート適性は感じましたので、今回も終いの脚を信じてみたい。4Rのロイヤルオペラの前走は3着も上手く立ち回れたと思います。以前ほどムキになる面がなくなったので、2000mの距離は問題ないはず。今回は牝馬限定戦でもあり何とかしてあげたい。6R(2歳新馬)のマイネルアルケミーは2週前、先週と追い切りに続けて乗せていただきました。その時点で動きは素軽く、仕上がりの良さを感じています。気難しいところを出さずスムーズにさえ運べれば、初戦から頑張ってくれると思います。
7Rのマイネルカルムはここまでの足踏みが意外とも思える馬。内田騎手が乗った前走は良さが戻ってきた印象だったので、休養明け2走目と新馬3着があるコースで前進がありませんか。9Rのリープフラウミルヒの近走は東京コースでも崩れずに頑張っています。続戦でも元気一杯で調子の良さを感じますし、むしろ福島コースが合うのではないかと思います。10Rのマイネルカレッツァの前走はようやくいい頃の感触が戻ってきた印象でした。ハナに行くのが理想ですが、行けなくとも前々で積極的な運びをして押し切りを狙いたい。11Rのメイショウバッハは2走前に乗せていただきましたが、着順ほど感触は悪くありませんでした。乗り味が良く福島コースも合いそうなので、今度はいい面を引き出してあげたい。
日曜も福島で7鞍に騎乗します。1Rのマイネルアプラウスの初戦は馬がレースと分かっておらず、気持ちが乗り切れなかったという印象。使われて良くなっていると先生から聞きましたし、すぐに勝ち負けになりそうな雰囲気を感じます。3Rのシーズラックは芝で乗った初戦以来の騎乗も、その後のダートで安定してきています。当時のイメージにとらわれず、よく研究して臨みたい。5R(2歳新馬)のマイネルデセーオは1週前に乗せていただきましたが、おっとりしていて使ってから上向くのかなという印象を受けました。おとなしくて真面目で、先々は走ってくると思います。
7Rのマイネルスカイの前走は東京コースでよく頑張ってくれました。ただ、道中自分からハミを取るようなタイプではないので、いかにその気にさせてあげられるかが鍵になります。9Rのマイネルズイーガーの前走は降級の力を見せてくれました。この条件であれば、それこそ相手関係ひとつです。10Rのローレルジャックの前走は直線で手応えほど伸びず、自分で控えてしまっている印象を受けました。乗った感触は凄くいい馬なので、ストレスを与えないような運びを心掛けて前進させてあげたい。
前振りさせていただいたとおり、9日(月)・10日(火)はセレクトセールに行ってきました。例年にも増しての盛況で、とにかく世界に誇れるセリですね。普段は顔を合わせない関西の調教師さんや馬主さんにご挨拶できる場なので、モチベーションを上げるためにもいい時間になっています。あの場所で目立っていた馬から依頼をいただけるように頑張りたい。そんな合間を縫って、まずはビッグレッドファームにて門別で1戦1勝のナイママに乗せていただきました。エッ!と唸らされるような凄い動きをしており、これが2歳馬なのかという衝撃を受けました。地方でもう1戦してから中央に挑戦することになるそうですが、芝も十分にこなすフットワークだと思うので動向に注目してください。
そして、水曜は函館競馬場でこちらも期待の2歳馬であるアルママに乗ってきました。芝コースで初めての追い切りだったため戸惑いながらの走りで追うような格好になりましたが、あれでいてまだ余力残し。こちらもやはり能力が高い馬で、牧場で乗った時からの成長を感じました。札幌のデビュー戦まであと2週、函館に駆けつけて追い切りに乗るので、しっかりと態勢は整うと思います。しばらく北海道の小ネタが多くなると思いますが、それだけ期待しているという証明なのでお付き合いください。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。