一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
福島最終週の日曜は11鞍に騎乗
2018/7/19(木)
先週は福島で2勝することができました。マイネルカレッツァ(8人気)は長い休み明けを使われながら、やっと本来のこの馬らしい走りに。今回に関しては何も言うことがない完勝でした。マイネルアプラウス(5人気)は初戦を使って馬体に締まりが出て、それに伴い走りも良くなっていました。テンションも上がらず落ちついており、上手な競馬をしてくれました。距離はもう少しあっても良さそうで、この後の選択肢が広がる一戦だったと思います。月曜日、マーキュリーC(盛岡)のマイネルバサラ(5人気5着)は休み明けがもうひとつというタイプ。それに加えて斤量面を思えば頑張っています。使われて段々と上がってくる馬なので、この先も楽しみです。
早くも最終週になる土曜は福島で9鞍に騎乗します。2Rのアンシンカブルは体がない馬なので、むしろ休み明けは魅力。自分から動けるタイプではないため、少しでも展開が向いてほしいところです。3Rのマイネルラッジョは既走馬相手の初戦がなかなかの内容。体にもまだ余裕があったので、使われた上積みはあると思います。6着からさらに上の着順を目指したい。5R(2歳新馬)のマイネルフトゥーロは距離や適性が未知数という印象。芝2000mのデビューとなりますが、次に繋がる内容にしてあげたい。7Rのヴィーダの前走は間隔が空いた分だと思います。外を回すロスもあったので、使われた状態面と相まってスムーズな競馬で巻き返したい。
9Rのマイネルネッツはいつも一生懸命に走ってくれる馬でもうひと押しという段階。少しでも勝ち負けに近づけるような立ち回りを意識します。10Rのコスモアルヘナは障害帰りの一戦。走っていた条件の少頭数ではあるので、ひとつでも上の着順を目指して頑張ります。11Rのヴェアリアスサマーのハンデ54キロは魅力で、脚質を思えば前走は東京コースで頑張っています。スタートを決めて、スムーズな形でこの馬の展開に持ち込みたい。12Rのシュピールカルテは前走から間隔こそ空いていますがここは降級戦。現級を勝っている舞台でもあり、自ずと力が入ります。
日曜も福島で11鞍に騎乗します。1Rのコスモエスパーダの初戦は思っていた以上に頑張ってくれました。状態面の上積みは大きいはずなので、タイプ的に2戦目のテンションが鍵を握りそう。2Rのコスモブッカーは体がないので、まず当日の体重が気になります。保てているようであればもうひとつ頑張ってくれるはず。4Rのマイネルトワイスは何も気にするところがなく、春先を思えば普通の競馬ができました。距離もマッチしていたので、使った上積みと相まって前進が見込めます。6Rのローズピルグリムは初戦に乗せていただいて、着順(11着)ほど悪い感触ではありませんでした。初芝になる今回は変わってくれませんか。7Rのスーパースナッズの前走は久々の分だったと思います。距離が延びるのもいいはずなので、使って2戦目の前進に期待しています。
8Rのマースチェルはもっと走れそうな感触があるのですが、気難しさが能力を妨げている印象。嫌気がささないように工夫して乗ってあげたい。9Rのマイネルズイーガーは、この番組がマッチしていると踏んでの連闘。ここ2戦はしっかり競馬できており、暑さと相手関係につきると思います。地力を信じて勝たせてあげたい。10Rのマイネルアンファンの前走は目立った勝ち方でしたね。これまでの内容からも相手なりに走れそうで、昇級でも頑張ってくれると思います。11Rのゲッカコウは近走こそ案外ですが、福島コースは合っている馬。戦ってきた相手も違うので、この番組なら巻き返してくれませんか。12Rのマイネルパッセは間隔が空いていた前走でもオッと思わせる内容。使ってテンションが高くなるタイプも、上手くコントロールしてあげれば力は上だと思っています。
今週は月曜の盛岡競馬後に、初めて新幹線でアルママが待つ函館まで行ってみました。やはり時間がかかるというのと、青函トンネルは長いというごく一般的な感想でしたが……。同馬の1週前追い切りは先週やってある分だけ反応が良くなっていましたね。スムーズな追走から早目に抜け出して、馬が気を使ってフワフワしてしまったほど。結果もう一度しっかり追えて、ウッドも重たかったのでいい負荷がかかったと思います。馬は今週末のうちに移動して、最終追い切りは札幌競馬場で馬場見せと言いますか、環境に慣らすことを重視したいと思っています。またまたになりますが、次回は改めての感触とデビューを迎えるにあたっての意気込みを書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。