一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
気持ちを新たに中山開幕週
2018/9/6(木)
夏の新潟最終週はマイネルエキサイト(3人気)で勝つことができました。初戦もいい競馬で2着しておりチャンスはあると思っていましたが、スタートも良く自分のペースで運べたことが勝因でしょうか。最後の直線も一旦は先に出られたのですが、ゴール前で差し返してくれて根性も見せています。マイティーワークス(2人気2着)は前走で感触を掴めており、気合を入れて臨みました。馬もよく応えてくれましたが、相手が強かったという印象です。新潟記念のマイネルハニー(9人気9着)はプランどおりの運びはできたものの、ここからという所でサッと交わされてしまいました。夏場があまり得意でないのか、本調子にはあと一歩という印象を受けました。土曜の馬場なら丁度よかったかもしれませんが、乾いて時計の速い決着も敗因のひとつだったかもしれません。
秋開幕週の土曜は中山で8鞍に騎乗します。1Rのミーラークルムの前2走は馬が気を使って走っています。怖がりな面もあるので、もう少し慣れが必要かもしれません。2Rのスペキュラースの初戦は4コーナーで窮屈になるシーンが痛かった。2戦目の慣れが見込めそうで、スムーズに運べれば前進できるはず。3Rのグラチダオンは力がある馬ですが、やや忙しい1200mをどうカバーして乗れるか。最後は確実に脚を使ってくれるので、少しでも流れが向いてほしい。8Rのマイネルレンカは具合の良さを感じた交流戦の前走が案外。暑さも影響したのでしょうか……。気持ちさえ向けばもっともっと走れていい馬なので、新馬を勝っているコースで前進させてあげたい。12Rのマイネルベレーロの前走は、新潟外回りの長い直線をよく踏ん張っています。本来は小回りでこそのタイプなので、この馬らしい渋太さを活かしたい。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。1Rのマイネルアルケミーは芝に替わった前走で一変といっていい内容。それでも左回りのコーナーリングがぎこちなかった印象もあり、中山コースがいいほうに向いてくれませんか。2Rのレオンドーロは能力を感じる馬も、初戦は周りに気を使ってブレーキをかけながらの走り。競馬を覚えてくれてさえいれば、大きく前進できるだけの力を持っています。6Rのサイドストリートは力がある馬で、前走はとりわけ合っているとは思えなかった千直でも4着に踏ん張ってくれました。1200mダートの牝馬限定戦となれば最高の舞台。改めて勝ち負けを意識しています。7Rのネコワシの前2走は勝負所でモタモタしてしまいました。休み明け3走目とコース替わりでスムーズに運べれば、もう一歩前進できるだけの感触はあります。
今週は関西地方の台風、北海道では地震による甚大な被害があり、被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。北海道の牧場に被害が少なかったのにはホッとしましたが、依然として停電が続いていたり、孤立されている方々もいるのは心配でなりません。自分にできることを考えつつ、防災への備えを見直さなければと思いました。いつものように競馬ができることに感謝して精一杯頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。