一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
有馬記念ウィークですね
2018/12/21(金)
先週はアルマエルナト(6人気)で勝つことができました。約4ヶ月休んだことで体が戻っていたのがまず良かったと思います。ゲートをしっかりと出て、すんなり好位で運べたことも大きかった。約2年半振りの勝利をまた一緒に味わうことができて何よりです。モーンストルム(2人気)はレース振りも安定して、上手くいったかと思いましたが…。勝ち味に遅いところはありますが、今回のようなアプローチを続けていけば勝利を掴めるはず。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。3Rのエンジェルカナの9月の初戦はまだ非力さを感じました。いいモノは持っているので、この休み明けで体が増えていてくれれば前進できると見ています。4Rのコスモビックラコグは器用なタイプではないのでスタートしてからの位置取りがポイント。続けて同じコースなので、前走のように流れに乗れれば差がない競馬ができるはず。5R(新馬)のマイネルリッターは追い切りに乗せていただきましたが、凄くいい走りをしています。大型馬で使ってからさらに良くなりそうな印象を受けたものの、牧場にいた時点から動いていたそうで、初戦から楽しみにしています。
9Rのマイネルアルケミーの前走は勝ち馬が強かったというだけで、いい内容だったと思います。オープンでもという感触を持っているので、改めて勝ち負けを意識したい。11Rのマイネルカレッツァはかねてから使いつつ調子を上げていく馬。クラスが上がって休み明け4戦目、そろそろ頑張れるタイミングではないでしょうか。12Rのフロムマイハートは前走で外したブリンカーを再着用します。このクラスでもやれる馬かつ中山のほうが向いているので、流れに乗せて運べれば巻き返せると思っています。
日曜は中山で6鞍に騎乗します。3Rのレオンドーロの前走は、時計を思えば先着された2頭が強かった。明らかに能力は上位なので、そろそろ決めてあげなければなりません。8Rのコスモジョーカーの前走は東京コースが合わなかっただけで、着順ほど内容は悪くなかった。中山コースで流れに乗れれば、このクラスでも頑張れると見ています。9Rのサンデームーティエは間隔こそ空いていますが、実績が示すとおりに自分の競馬さえできればしぶとい馬。中山2500mは向いていると思うので、盛り上がるコースで持ち味を発揮してあげたい。
別コンテンツ(現役ジョッキーが語る名勝負)でも書かせていただきましたが、有馬記念にはまだ乗ったことがないんです。一番乗ってみたいレースも叶わず観戦に回りますが、オジュウチョウサンの出走はとても興味深い。僕も障害に騎乗していた時期があり、飛越のロスのなさ、身のこなしには驚かされるばかり。卓越したセンスによりダメージなく走ってきたことが、今の活躍に繋がっているのでしょうね。枠順抽選会で1枠1番を引く武豊さんの運にも驚かされましたが、騎手目線でも注目がつきないグランプリです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。