一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
京成杯はナイママに騎乗
2019/1/10(木)
2019年の開幕週は2着が3回も勝つことができず。マイネルイヴィンス(7人気)は段々と馬が良くなってきたタイミングで乗せていただきました。後続を8馬身離しており正直勝ったかと思いましたが、あの立ち回りで差されてしまったのですから相手が強かったと割り切れます。アルママ(1人気)は負けてしまったものの、悪いところを見せずに内容は合格だったと思います。2走前のようなことはないという確信が得られたので、次走こそ勝利にこだわりたい。マイネルミュトス(3人気)は体に緩さがあるため器用に立ち回れないのが現状の弱点も、やはり終いはしっかりとした脚があります。この馬も次に繋がる内容でした。中山金杯のマイネルハニー(14人気11着)はスタート一歩目は良かったのですが、そこからが流れに乗れず。本当に良かった頃とはまだ感じが違うので、もう少し長い目で見てあげる必要がありそう。二の脚がつかなくなっているのは気になるところです。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。4R(新馬)のゴーは今週の追い切りに乗せていただきましたが、時計が出るような走りで動きも良かった。まだ体に余裕があって使ってから上向きそうなタイプも、持っている能力はいいものがあります。5Rのマイネルペンドラムは使う毎に調子を上げているという印象。何より距離が延びるのは良さそうなので頑張りたい。7Rのロイヤルジュビリーは地方から戻ってきての2戦目でダート替わり。前走は不利があって力を出し切れてないように見えたので、スムーズに運べれば違ってくると思います。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。2Rのマイネルリッターの初戦は体に余裕がありましたので、使っての上積みが見込めます。まだまだ時計は短縮できるはずで、期待を持っての2戦目です。6Rのコスモビックラコグは器用な立ち回りができないため、前半の位置取りと流れが鍵になります。そんな中でも前2走は崩れておらず、このコース自体は合っています。7Rのワンダーラジャは以前に同じ条件で勝たせていただいた馬。休みが長い分だけどうかですが、当時のいいイメージを持って臨みます。11Rのウインファビラスは追い切りに乗せていただきました。単走だと動く馬ではありませんが、状態の良さを把握できています。中山コースが合うのも間違いないので、前走勝ちの勢いまま頑張ってくれるはず。12Rのキューンハイトは距離が2200mになるのは歓迎です。自分でペースを作れるタイプではありませんが、流れとコース取りがかみ合えば着順を上げられるはず。
祝日開催となる月曜も中山で11鞍に騎乗します。京成杯のナイママの前走はかなりテンションが上がってしまって、競馬の前に大分消耗していました。そのあたりから今回はハミを換えるなどの工夫をして、返し馬にも細心の注意を払います。ここで勝負になる力はあるはずなので、レースに持っていくテンションひとつだと思っています。追い切りのVTRを見る限りでは落ち着いており、中山コースもマッチしそうなイメージです。1Rのコスモアドムは距離短縮でのダート替わり。馬は使いつつ良くなっているので、この条件が何とかかみ合ってほしい。2Rのモーンストルムは未勝利では力が違うと思っている馬。改めての牝馬限定戦ですし、今度こそ勝たせてあげたい。
5Rのエンジェルカナの前走は体重こそ変わっていなかったものの、立て直して馬はしっかりしていました。距離延長で今度は追走も楽になるはずなので、2戦目の前進に期待しています。6Rのコスモカンナムは昨春に一度乗せていただいて、終いの脚に見所を感じました。近走こそ結果は出ていませんが、この休み明けは良いほうに向いてくれませんか。9Rのマイネルユキツバキは500万勝ちの時計が秀逸で、昇級の前走もクラスに目途が立つ内容。大型馬なので半年の休み明けがどうかにつきますが、地力を信じた乗り方に徹します。10Rのニットウスバルの前走は東京コースで流れが向かなかったという印象。それでも十分に力は感じたので、展開に応じた乗り方ひとつで着順を上げられそう。
先週は日曜の競馬終了後に騎手クラブの新年会がありました。この催しがあると、また一年が始まるんだなと改めて感じます。今年は日の出桟橋からシンフォニークルーズに乗って東京湾を一周しました。丁度いいタイミングでディズニーランドから花火が打ち上がり、レインボーブリッジなどの夜景を観てテンションが上がりました。普段はライバルでも競馬を離れれば楽しく盛り上がれるジョッキー達。切磋琢磨して今年も熱いレースをお見せしていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。