一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
根岸Sはワンダーリーデルに騎乗
2019/1/24(木)
先週はレオンドーロ(3人気)で勝つことができました。今回もメンバーが揃っていたので、とにかく道中ロスなく立ち回ることを心掛けて、思っていたことがかみ合っての勝利だったので本当に嬉しかった。使い詰めで馬に疲れがきていた節もあり、このタイミングで一息入れてあげられるのは何よりです。マイネルイヴィンス(1人気2着)は今回も力があるところを見せてくれましたが……。スタートが速い馬ではないので、被されず自分から動ける位置につけられなかったのが響きました。とはいえ、内容も悪くなく一戦毎に馬は良くなっているので次走こそは決めてあげたい。アメリカJCCのマイネルミラノ(10人気9着)は引退レースになりましたが、衰えたというところは感じませんでした。超一線級のメンバーによく頑張って最後まで走っています。9歳を迎えるまで走り続けてくれたので、この先はゆっくりのんびりしてほしいです。
開幕週の土曜は東京で3鞍に騎乗します。1Rのコスモアドムは前走の初ダートでいい競馬ができました。適性は掴めましたし、直線が長い東京コースも合いそう。着順を上げられそうなイメージがあり期待しています。5Rのマイネルミュトスは距離が延びるのは問題ありませんし、むしろこの馬も広いコース向き。2着が続いていますが、改めて勝ち負けを意識している一戦です。6Rのマイネルセリオンは休み明けになりますが、使いつつレース慣れしてきていた印象。追い切りはもともと動く馬ではなく、走り自体は良くなっています。緒戦から頑張ってくれるのではないでしょうか。
日曜も東京で9鞍に騎乗します。根岸Sのワンダーリーデルは叩いて良くなるタイプと聞いていますが、間隔が空いていた前走でも中身がある内容。沖先生が引退間近というタイミングでチャンスをいただけたのも本当に有り難いです。フェブラリーSに繋がるレースにできるよう、しっかりと研究して最善を尽くします。1Rのビーサプライズドは芝で乗せていただいた2走前が、スピードがあっていい位置にスッとつけられた割には脚が続かなかったという印象。ダートのこの条件なら変われそうなイメージを持っています。4Rのコハルチャンは最後にいい脚を使う馬で、中央でも未勝利を勝てる感触がありました。時間がなく勝ち上がれず地方で2勝して戻ってきてくれたので、何とか見通しが立つ競馬をしてあげたい。
5Rのコスモアイトーンは前走が可哀想な競馬で競走中止に。馬を怖がったりや、精神的なところでの影響がなければレベル的に勝ち負けになるはず。7Rのロージズキングは東京2100mで続けていい競馬ができており適性は間違いありません。大型馬の間隔が空いたところだけどうかですが、十分に勝ち負けできる力があります。9Rのマイネルエキサイトは溜めてみた前走が案外に脚を使えず。開幕週の馬場でもあり、今回は前々でしぶとさを活かすアプローチのほうがマッチするかもしれません。10Rのマイネルカレッツァはコンスタントに使えており、少しずつでも調子を上げている印象。上がりの速い競馬にはやや不安もあるので、コース適性を活かして立ち回りに気をつけたい。
早いものでもう開催場替わり。中山での勝ち鞍は2勝でしたが、それぞれ内容の濃い競馬を続けられましたし、自分としてのペースは掴めています。鬼門の東京開催ではありますが、勢いに乗れそうな心強い騎乗馬が揃っており、楽しみな気持ちのほうが強いです。開幕週から勝利を積み重ねていけるように精一杯頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。