一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
マーチSはマイネルオフィールに騎乗
2019/3/21(木)
なかなか勝ち切ることができず苦戦しています。先週はマイネルイヴィンス(2人気)の2着が最高着順。間隔を詰めたことが良かったようで馬体が絞れ、立ち回りも上手くいきましたが……。決め手の差で負けてしまったものの、馬は展開ひとつという段階まできています。初めて乗せていただいたラキウラ(3人気3着)は荒削りで幼く、ゲートを五分に出られなかったことで砂を被ると、馬が怒ってムキになりながら向正面を走っていました。それでも3着といい素質を持っており、気持ちとまだ緩い体がかみ合えば走ってくると思います。フラワーCのレオンドーロ(6人気8着)は間隔が空いた分なのかゲートの中で力が入っており、脚が突っ張ったタイミングでのスタート。そこから流れには乗れたものの、1800mの重賞とあって脚がタマりませんでした。距離はあったほうがいいタイプだと改めて感じました。
この土曜は中山で7鞍に騎乗します。1Rのタイコは前走の感触が悪くなかった。ゲートの中で大人しくないので、上手くスタートを決めて流れに乗せれば前進できると思います。3Rのサクラザチェンジは、やはりブリンカーを着けていたほうが走れますね。東京よりは中山コース向きであることも分かっているので、改めて力を発揮させてあげたい。
4Rのアマレーンは初戦や前走の内容から距離が延びたほうが良さそうに感じます。休ませたことによる成長と相まって前進がありませんか。5Rのアルママは芝ダート問わず堅実で、あとひと押しというところまできています。距離もコースも問題なく、とにかく勝たせたいの一言につきます。10Rのスビールアスールはレースで初めての騎乗となりますが、実績的にもクラスでは抜けているくらい。しっかりと研究して馬が得意の舞台で自分もベストを尽くします。
日曜も中山で6鞍に騎乗します。マーチSのマイネルオフィールの前走はようやく条件がマッチして、人気がなくとも地力で勝ち切ってくれました。重賞で相手は強くなりますが、狙ったレースに好調のまま使えるというアドバンテージは大きいはず。時計面に目処が立ってのハンデ戦なので、勢いを活かせるように頑張ります。1Rのハナダマの初戦はスタート、キックバックと色々なことに戸惑っていました。あのレースを覚えていてくれれば、前進できるだけの力は持っていると思います。
5Rのマーマレードガールは気難しい面があるため、とにかくモマれない競馬が理想。前走は道中で左に張っており、そのあたりを平常心で走れるようならもっと粘れていいはずです。8Rのマイネルツァイトはどうしてもゲートで待たされると我慢できない。前走はかなりの脚を使ってくれており、スタートさえ決まればやれる感触があるんです。休養明け2戦目の上積みにも期待しています。9Rのコスモアルヘナの前走は休み明けの分と見ています。休養明け2戦目、少頭数の競馬で前進させてあげられるよう頑張ります。
あっという間に連続開催も開幕週となり、中山競馬場は桜が咲き始める頃合。とりわけ向正面は日当たりがいいのか、返し馬で近づくと一足先に季節を感じるんです。恒例になっている目黒川の花見にも気持ちよく足を運べるよう、今週こそすっきりと勝利を収めたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。