一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
土曜は福島に遠征します
2019/4/4(木)
先週はマイネルヴンシュ(1人気)で勝つことができました。体は10キロ減っていましたが、返し馬から素軽く使った分の上積みを感じたので、これは締まったものだと自信を持って臨みました。もうひとつだったスタートから押し上げ、道中は手応えが悪くなるシーンもあったものの、直線抜け出すとソラを使って2馬身差ですから力が違いました。自分が思っていた以上に奥を感じたので、ここから段々とステップを踏んでいきたい。マイネルイヴィンス(1人気3着)は後ろをもっと引きつける作戦もあったのですが、この馬の持ち味を考えての仕掛け。前を行っていた組が早目に止まってしまったので、目標がなくなりフワッとしてしまう不運も重なりました。ここ2走は状態も抜群に良く、何としても次のタイミングで勝たせてあげたい。
この土曜は開幕初日の福島で4鞍に騎乗します。10Rのレオンドーロは相手が強かったフラワーCからの自己条件。1800mも忙しい印象があったので、距離が戻って立ち回りやすくなると思います。先週も書かせていただいたように、この馬をメインに考えての遠征なので勝ちたい一戦です。12Rのマイネルベレーロは、とりわけ使い詰めだった休養前の前走が追走に苦労しました。馬がリフレッシュしての福島戦であれば、あのようなことはないと思います。
日曜は中山で8鞍に騎乗します。1Rのラキウラはまだ幼いところがありますが、レースを使いつつの上積みは大きいタイプ。同じコースの3戦目でもう一歩前進があると思っています。
4Rのアナザークイーンは力がある馬なので、休養前に崩れたのは疲れが溜まっていたのだと思います。休養明けはむしろいいほうに向くはずで、巻き返しに力が入ります。
5Rのコスモエスパーダの前走はずっと外々に逃げていて、上手くハミを取らぬままレースを終えてしまいました。続けて同じコースを使えるのは大きいはずなので、今度こそ持ち味を引き出してあげたい。十分に勝つだけの力はあります。6Rのコスモロビンソンは先週の追い切りに乗せていただき、いい素質を感じさせつつも久々で動き切れなかったという印象。使ってからより良くなりそうですが、前走は砂を被って嫌がるシーンもあったので、スムーズな競馬を心掛けて前進を目指します。11Rのアルマエルナトの前走は、昇級の速い時計にも対応して相手なりに頑張っています。ベストコースでハンデ53キロとなれば、立ち回りひとつで着順を上げられるはず。
先週は日曜日の競馬終わり、目黒川で恒例の花見をしてきました。写真にも載せますとおり、その段階では7分咲きくらい。肌寒さを感じましたが相変わらず人手は凄かったです。今年は咲き始めてからまたグッと寒くなったため、例年になく花持ちがいいですね。かれこれ3週間も桜を話題にしたのは、このコラムでも記憶にありません(笑)。阪神は満開の桜花賞になるでしょうし、中山でもまだ桜を楽しめるはず。是非とも競馬場にお越しください。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。