一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
青葉賞はアルママに騎乗
2019/4/25(木)
東京開幕週は勝つことができずも、ラプターゲイル(11人気3着)が頑張ってくれました。普段はテンションに課題があるのですが、返し馬からとても雰囲気が良く落ち着いていました。広いコースで追走が楽になったことで、終いまでしっかり反応しています。人気こそありませんでしたが、クラスに目処が立つ一戦だったと思います。フローラSのレオンドーロ(14人気13着)はスタートを上手く出てくれて、戦前に思っていたとおりの競馬はできました。調子も上向いていた印象でしたが、重賞に入ると相手も強かった。馬もいい経験になったはずで、これからの成長に期待します。
今週は3日間開催、初日の土曜は東京で5鞍に騎乗します。青葉賞のアルママは前走後すぐここに照準を定めて、順調に追い切りをこなすことができました。今はもう折り合いの心配がなく、相手なりに走ってくれるタイプなので重賞で相手が強くなるのも気になりません。集中を途切れさせないように走らせて、最後は前の馬を交わすところまで持ち込むイメージで乗ります。日本ダービーの出走権を獲りたい一戦です。
5Rのコスモエスパーダの前走は勝ち馬が強かったというだけで、いい競馬ができました。東京コースでも結果は出ており、1400mになっても流れに乗れるだけのスピードがある馬です。8Rのステイタスの前走は1200mでペースが速く、砂を被って馬が怯んでいた印象でした。転入2戦目かつ1400mで追走が楽になれば前走のようなことはないと思います。10Rのマイネルアンファンは中山1800mがイメージしていたよりも忙しかった。クラス慣れが見込め、勝たせてもらった舞台に戻ってゆったり運べれば前進が見込めます。
日曜も東京で3鞍に騎乗します。5Rのシックガニアンは前半の位置取りがポイント。中山に比べれば東京2000mは忙しくならない舞台なので、スタートした後のポジションに拘って乗りたい。9Rのマイネルクラフトは自分でレースを作っていくと最後に甘くなってしまう馬。少頭数のハンデ戦と条件は合っているので、よりソツのない騎乗を心掛けます。10Rのウインフェニックスはここ2走がハミを取るようなところがなかったため、この中間からブリンカーを着けてもらっています。調教では効果が表れているようなので、これが刺激になってレースでも力を出し切ってほしい。
月曜は新潟でボーイズオブサマーに騎乗します。初めて乗せていただいた前走も頑張ってくれましたが、小回りの1700mは追っつけ通しとなり忙しかった。コース替わりでスムーズに流れに乗せていければ差はないと思います。一鞍入魂で力が入る一戦です。
先週は他の話題もあり書きそびれましたが、キャストが一新されたレ・ミゼラブルのプレビュー公演に行ってきました。今回はトレンディエンジェルの斎藤さんが出演されているのですが、プロの中に入っても声が良くて演技が際立っています。安定して素晴らしいミュージカルですが、今回も楽しませてもらえました。帝国劇場は5月28日(火)まで、その後は全国ツアーもあるようなので是非足を運んでみてください。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。