一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
気持ちを新たに2歳新馬スタート
2019/5/30(木)
ダービーウィークはマイネルクラフト(8人気2着)が最高着順。厩舎サイドが上手く調整してくださって、馬に気持ちが乗って走る気いっぱい。ロスなく立ち回れたコース取りと相まって、速い時計の決着をよく踏ん張ってくれました。プレミオテーラー(9人気)は時計差なしの3着。ハンデ52キロと前有利の馬場がかみ合ったので、あそこまでいったら勝ちたかった…。状態も凄く良かったですし、いつも人気以上に頑張ってくれます。日本ダービーのナイママ(17人気13着)は中2週でも大一番に相応しい状態でした。惜しむらくは速い馬場に対応できず、距離延長でも追走に苦労しました。現時点では力の差を感じましたが、まだまだこれからの馬。夏場のリフレッシュを経ての成長が楽しみです。
この土曜は東京で6鞍に騎乗します。3Rのディオミーオは前2走がもうひとつの走りだったため今回は初ダート。血統や走法はマッチしそうなので、新味が出てくれることに期待します。5R(2歳新馬)のコスモカッティーボは追い切りにずっと乗せていただいてきましたが、素直で一生懸命に走る馬。このレース目標に乗り込み豊富で、初戦から力を出せそうな態勢。とりわけ今週のムードが良かっただけに楽しみです。
7Rのラプターゲイルの前走は時計面の課題が出てしまった印象。時計のかかる馬場と展開になれば、2走前が示すようにチャンスもあるはず。9Rのマイネルザウバアは2月の小倉戦以来も、フレッシュな時のほうが走ってくれる馬。直線の長い東京コース替わりは鍵になりますが、手頃な頭数で競馬はしやすいと思います。12Rのマイネルサンタアナは約半年の休み明け。加えて昇級と楽な条件ではありませんが、いい素質を持っており未勝利の勝ちっぷりも良かっただけに楽しみな復帰戦です。
日曜も東京で2鞍に騎乗します。6R(2歳新馬)のスリリングドリームはかなり順調に乗り込みを消化しており、素質的にも楽しみな一頭。この馬も調教にずっと乗せていただいています。フェノーメノ産駒で距離の融通もききそうなタイプですが、新馬のマイル戦であれば十分に対応可能です。10Rのメガオパールカフェは最近の結果こそ案外ですが、合っている舞台だと思います。前回乗せていただいた際の感触が良く、馬場と展開ひとつで食い込めませんか。
日本ダービーが終わり、気持ちを新たに2歳新馬が始まりますが、恒例だった4歳の降級制度が廃止になり、僕らとしても新鮮かつ手探りな開幕週。従来の500万条件が1勝馬クラス、1000万条件が2勝馬クラスというように変わり、より1勝の重みが出てくるように思いますね。3歳馬でも力があればいきなり通用する可能性が高まりますし、かと言って現級で苦戦していた4歳馬は降級がなくなりどうなるのかという懸念も…。ともあれ、これからの常識になっていくので、与えられた舞台で精一杯に頑張っていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。