一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
スマイルカナで嬉しい新馬勝ち
2019/8/1(木)
新潟開幕週は期待していたスマイルカナ(2人気)で勝つことができました。本当はソロッと進めるつもりだったのですが、スタートから反応が良すぎて押し出されるようなハナ。道中も一頭ついて来られて楽な展開ではなかったものの、能力で外回りコースを押し切ってくれました。気性面の成長など課題も浮き彫りにはなりましたが、先々のローテを占う意味でも初戦を勝てたことが何より良かったと思います。サクラザチェンジ(2人気)はひと息入っていましたが、最後まで集中した走り。勝ち馬が強かったというだけの2着なので、次のタイミングで何とかしてあげたい。アイビスSDのアルマエルナト(8人気11着)は思ったよりもペースが上がらず楽に追走できましたが、その分で上手く脚がタマりきれなかったという印象。この馬にとっては、もう少し厳しいペースのほうが良かったのかもしれません。一番の敗因は展開面だと思っています。
この土曜は新潟で5鞍に騎乗します。3Rのマイネルパイオニアは素直で乗り味がいい馬。初戦こそピリッとしませんでしたが、タイプ的に2戦目での上積みを見込んでいます。4Rのテンジュインはスピードに溢れている馬。1000mは合うと思っているので期待しています。
5R(2歳新馬)のリーディングレディは今週の追い切りに乗せていただきましたが、まだ上手く体を使い切れていないという印象。気性的に幼い面もあり、使って上向いていくタイプかもしれません。7Rのコスモビックラコグは跳びが大きい馬で広いコース向き。前走は忙しいコースでも頑張ってくれており、使っての上積みと相まって結果を出したい一戦です。11Rのハニージェイドも、前走は忙しいコースでいい脚を使ってくれました。展開の助けはほしいところですが、続けて乗せていただけることやハンデなどメリットばかり。よりいい結果を目指して頑張ります。
日曜も新潟で6鞍に騎乗します。1Rのステラドーロはデビュー前から追い切りに乗せてもらっており、使ったら良くなりそうと感じていた状況での新馬2着。ゲート練習の成果も出ており、同じ左回りのコースでセンスを見せてくれると思います。 4Rのコンステレーションは小柄で脚の使い所が難しいのですが、デビュー戦などを思えば今の時期に未勝利にいるのが不思議なほど。広いコースで流れに乗れれば違うと思います。12Rのマイネルベレーロは新潟外回りがプラスとは言い切れませんが、ペースが落ち着きそうな少頭数はいいですね。持ち味であるしぶとさを活かせるような騎乗を心掛けたい。
今週はディープインパクトの訃報を受け、何とも言えない残念な気持ちになりました。常に一戦級のレースで圧勝しているにも関わらず、他の馬が弱いのかな?と錯覚するような感覚でレースを観ていたのを覚えています。サラブレッドの究極といっても過言ではありませんよね。多くの産駒には乗ったことがないのですが、先週勝たせていただいたスマイルカナがそんな一頭で凄いバネを持っています。偉大な血を受け継ぐ馬に携われることに感謝し、この先も気持ちを入れながら乗っていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。