一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
セントライト記念はナイママに騎乗
2019/9/12(木)
中山開幕週は勝つことができず、2頭の3着が最高着順。タイドオーバー(3人気)は若干1200mが忙しい感じこそありましたが、直線に向いてからはしっかり脚を使っています。1分7秒台前半という時計を思えば初距離で頑張ってくれました。キューンハイト(7人気)はイメージしていたとおりの立ち回りが人馬でできたと思います。強い2頭に離されたとはいえ納得のレースでした。紫苑Sのレオンドーロ(12人気14着)は速い展開に馬が戸惑って、時計的な部分で対応することができませんでした。格上挑戦で相手が強かった印象もあり、馬体は成長していたので、ここから力をつけていきたい。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。3Rのメンタピペリタは新潟コースの初戦がついて行くのに一杯でした。使った分の上積みとコース替わりでもう少し流れに乗れればと思っています。4Rのマイネルチューダは中間の調教に跨って、使った分の上積みを感じています。大分体を使える走りになっており、前走ほど忙しい競馬にはならないはず。
5R(新馬)のコスモギンガは周りをキョロキョロと気にするなど、集中を欠いてしまうところが現状の課題。いいモノは待っていますが、初めての競馬場にどこまで対応してくれるでしょうか。9Rのマイネルプリンチペはここ2戦も一生懸命に走っています。連続6着というのはコース適性の部分。新潟の外回りなら明らかに中山コース向きなので期待しています。11Rのマイネルキラメキも、前走は新潟の外回りかつ速い時計に持ち味を削がれました。同じ2000mでも中山コースならパフォーマンスを上げられるイメージです。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。1Rのマイネルティプトンは一度使って2戦目で内容がとても良くなりました。夏場に続戦した反動さえなければ、更に前進してくれると思います。3Rのコスモレペティールの初戦は、着順(8着)以上に内容あるレースでした。気難しい面があるので、一度競馬を経験したことがプラスに出ると思います。5R(新馬)のバイカルは追い切りに乗せていただきましたが、手応え良くいい動きでした。ただ、慎重な面が初めてになる競馬場でどう出るか。真面目で一生懸命に走ってくれる、能力は高そうな馬です。
6Rのラキウラはなかなか順調に使えず、前走は間隔が空いていた分だと思います。格上挑戦になりますが、叩いて万全の態勢となれば能力的な部分でも引けを取らないはず。9Rのマイネルエキサイトは休養に入るまでコンスタントに使われていました。タフな馬でもあり久々がどちらに出るかですが、いい休みになってくれていることを願います。10Rのマイネルアルケミーの前走は上手な競馬で順当勝ち。クラスが上がって速い馬場への対応が鍵になるものの、相手なりに頑張ってくれる馬なので期待しています。11Rのマイネルバサラは函館を使ってから少し空いていますが、続けて追い切りに乗せていただき好感触を得ました。凄くいい頃のバサラだと思います。上手く流れに乗せていけば、かつての実績からもこのタイミングで巻き返せませんか。
祝日開催の月曜も中山で2鞍に騎乗します。セントライト記念のナイママは帰厩してから付きっ切りといっても過言ではないくらい乗せていただいています。暑さにも負けず馬のヤル気は満々。休んでリフレッシュした中でもきっちり乗り込んで、より走りが良くなっています。速い馬場なので流れに乗せて、この馬の持ち味でもあるスタミナを活かしてあげたい。5R(新馬)のマイネルフェラッカも追い切りにずっと乗せていただいています。使ってからまた良くなりそうですが、乗り込み量は十分。現状における力は出してくれると思います。
開催場替わりのタイミングで勝つことはできませんでしたが、僕は中山コースが好きなので、より競馬をしているという実感はあります。能力がある馬が抜けてしまう新潟に比べると、中山は乗り方ひとつで馬の個性を活かせるコース。速い時計に対応させてあげることは鍵になりますが、ファンの皆さんが心配されるほど硬くて脚に負担がかかる馬場ではありません。クッションが利いていて、どうしてあそこまで速い時計になるのかが不思議なほど。関係者が手をかけてくれていて、本当に馬が走りやすいコンディションになっているんです。今週こそは勝利して、成績でもコース相性をお見せできればと思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。