一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
毎日王冠はマイネルファンロンに騎乗
2019/10/3(木)
中山最終週は勝つことができず、コスモビートイット(3人気3着)が最高着順。課題であるスタートが決まり、上手く流れに乗っていいアプローチができました。相手関係ひとつという段階まできています。マイネルワルツ(11人気4着)は少し間隔が空いたことで、心身ともに成長していました。当日も返し馬からとても落ち着いており、ゲートからゴールまでスムーズな競馬。チャンスが近づいたという内容でした。昇級だったコスモカッティーボ(8人気5着)も相手なりに頑張っています。1勝馬同士だったはいえオープン特別であの内容なら十分に目途が立ちました。
開幕週の土曜は東京で6鞍に騎乗します。6Rのバイラビエンは金沢で勝利を上げての昇級緒戦。自分が乗った初戦はスタートを出ずに見せ場を作れませんでしたが、前走は成長を感じさせる内容で勝っています。血統がいい馬でもあり、改めていただけたチャンスを大事にしたい。8Rのマイネルクラフトは東京2400mかつ少頭数がベスト条件。やるべきイメージもできており、結果を出したい舞台です。9Rのタイドオーバーは今回の舞台で2度の連対があり、前走1200mを経てやはり1400mがベストだと感じました。この馬も楽しみにしています。12Rのコスモビスティーは前走のように時計が速くて軽い馬場になると持ち味を出し切れません。発走の時間には乾いてくれそうな天気予報なので、ゲートに注意してスムーズに運べれば巻き返せるはず。
日曜も東京で7鞍に騎乗します。毎日王冠のマイネルファンロンは調教こそ厩舎にお任せも、追い切りをVTRで確認しましたが、いい動きをしていると思います。相手も強くよーいドンの競馬になると分が悪いので、スタートを決めてペースを作っていくような競馬が理想。展開と馬場傾向を踏まえ、この馬の持ち味を活かしてあげたい。1Rのコスモケルビンはダートに替わった前2走で良さが出てきた印象。自分がダートで乗るのは初めてですが、乗り味などからも期待しています。4R(新馬)のマイネルアルモニコは小柄ですが、とても素直で一生懸命に走ってくれる血統馬。気性は初戦向きという見方もできますが、心身ともに使いつつ成長していくタイプかもしれません。
8Rのコスモヨハネの前走は時計が速い決着で、流れに乗っていくのがやっと。スタートにばらつきこそありますが、決めて1600mであればいい競馬をしてくれます。東京コースのマイル戦は久々も、コースは合っているイメージです。9Rのマイネルヴンシュは実績から57キロのトップハンデは仕方ないところ。一度使ってベスト舞台でまたチャンスをいただけたことに感謝しかありません。相手関係をよく研究し、とりわけ結果を出したい一戦です。10Rのニットウスバルの前走は少し雰囲気が良くなっていたものの、最後は自分からハミを抜いてしまいました。そこを改善するべく今週の追い切りはブリンカーを着けてみましたが、感触は良かったように思います。体はいいので、1400mと相まってこのタイミングで変わってくれませんか。
前開催の中山では勝利がなく、ファンの皆さんにも心配をおかけしています。もちろん悔しいシーンはあるのですが、概ねリズム良く乗れており、自分の中で納得がいくレースはできています。そこに1着という結果がついてくるように、気を引き締めて東京開催に臨みたい。キッカケの勝利を掴むべく、この開幕週も有難いラインナップになっています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。