一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
京王杯2歳Sはカイトレッドに騎乗
2019/10/31(木)
先週は2頭の4着が最高着順。コスモタイシ(6人気)は初めて着用したブリンカーが刺激となって前向きになっていました。道中フワフワするところがありながらも自身の時計は詰めているので、条件ひとつでまだ前進が見込めます。初めて乗せていただいたマーニ(9人気)は返し馬の感触が良く、スタートも決まって自分のリズムで走ることができました。交わされそうで抜かせない根性もあり、クラスに目途が立つ一戦でした。アルマエルナト(9人気5着)は新潟コースの馬場が悪くなってきたことによって、いつも以上に各馬が外のポジションを求めた格好。前にいた2頭が同じタイミングで下がってきたことにより、なかなか進路を見つけられず勿体ないレースになってしまいました。年齢を感じさせない走りは健在で、まだまだコンビを組ませていただきたい一頭です。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。京王杯2歳Sのカイトレッドは追い切りに乗せていただきましたが凄く前向きで、レースでのコンビは初めてとはいえ、一度使った上積みを感じ取ることができました。乗りやすさと組みしやすい頭数が相まって、重賞でも頑張ってくれると思います。3Rのコスモクウの初戦は周りに気を使っていた印象で、全くハミを取らないまま終わってしまいました。調教の雰囲気ならもっともっと動けるはずで、レース慣れしていれば前進が見込めます。
4Rのマイネルスタイルは一戦毎に競馬内容が良化中。ローテーションも順調なので、一段上を目指して頑張りたい。6R(新馬)のマイネルエンカントは追い切りに乗せていただきましたが、まだ頼りなさが残っています。使って良くなっていきそうなイメージで、次に繋がるアプローチをしてあげたい。9Rのコスモジャーベは休み明けを一度使ってベストな番組。状態は上がっているはずで、2勝クラスでも連対実績あり。更に上を目指してレースを組み立てたい。
日曜も東京で2鞍に騎乗します。10Rのマイネルツァイトは急激に競馬内容が良化して連勝中。昇級しても通用するのは間違いありませんが、従来は使いつつ良くなるタイプで、半年振りの実戦がポイント。そう思う反面、より力をつけていてくれそうなイメージもあるので楽しみです。早速、騎乗数を確認されたファンの方からお問い合わせがあったと聞きましたが、使う予定だった馬がスライドしたり、福島に遠征したりとかみ合わなかっただけで、心配には及びません。研究できる時間があると前向きに捉え、一鞍ずつ大事に乗ってきます。
秋の東京競馬も2開催目。なかなか勝ち切れずに悔しい思いが募りますが、今開催も東京で続戦していきます。そんな中で、出走が延びつつあったスマイルカナの復帰戦が3週目の2歳1勝クラスの予定になりました。凄くバネがあって、かなり将来性を期待している馬。まだ追い切りには乗っていませんが、夏からの成長が楽しみでなりません。改めて出走当週に感触を書かせてもらいますね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。