一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アルママはパワーアップしています
2020/5/28(木)
先週は期待していたオークスのスマイルカナ(9人気)が16着。競馬を使う毎にテンションは抑えられており、返し馬からスタートまでいい雰囲気で臨めました。道中は我慢も利いてリズム良く走れていましたが、直線に入ってここからというタイミングで反応できず。距離が敗因だと思います。馬はよく頑張ってくれたので、今後は適距離で巻き返したい。4Rのマイネルエルガー(5人気4着)は東京の中長距離が向いていますね。このレースでは勝負所でジワッと外に出そうとしたところで思っていた以上に馬が反応し、他の人馬に迷惑をかけてしまいました。自分で分かっていながらの動きだけにもどかしくも、深く反省しています。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。6Rのマイネルラクスマンは今週の追い切りに乗せていただきましたが、勝った後も変わらずに順調。元から相手なりに走れる馬で力もつけており、昇級緒戦でどのくらいやれるか楽しみです。7Rのラプターゲイルは競馬を上手にしてくれますが、時計が速くなるのはプラスでないタイプ。馬場状態には注文がつきます。8Rのボーイズオブサマーは近走を見ても、いい頃に比べるともう一歩という印象。ただ、暖かい時期のほうが走れるイメージがあるので、詰めて使える上積みに期待しています。
日曜も東京で4鞍に騎乗します。4Rのコスモタイシはコースを問わずに頑張ってくれる馬。昨年6月の新馬に乗せていただいて馬でもあり、このタイミングで結果を出してあげたい。7Rのアルママは昨年10月以来の実戦ですが、何週か乗せていただいて、パワーアップを実感しています。しっかり調教を積んで、緒戦から力を出せる態勢。もう一段上のレベルで戦えるはずの馬なので、ここから巻き返したいと思っています。9Rのマイネルツァイトは3勝クラスに昇級してからが案外。キッカケさえ掴めば全然足りるはずの馬なので、この休養がいいほうに向いてくれればと思っています。
モチベーションが上がって、流れも良くなっていたというタイミングで冒頭に書いたミスにより今年2度目の騎乗停止。競馬以外は調教にも跨りますが、戒めの意味を込めてコラムは自粛させてください。次開催も無観客が発表されたものの、騎手の節内移動の制限は解除されます。悔しさを復帰後にぶつけられるよう技術を見つめ直す機会とし、次回の更新は3週間後(6月18日予定)にさせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。