一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
【続・無観客】も結果で盛り上げたい
2020/8/13(木)
先週は2歳戦で2勝することができました。ブルーバード(5人気)は前半こそ行き脚がつきませんでしたが、初戦に使ってくれた末脚を信じて乗りました。相手もかなり揃っている中でさらに次が楽しみになる内容。走りがゆったりしており、道悪も左回りもこなしてくれたのは大きいですね。スウィートブルーム(5人気)は一度使ってかなり状態が上向いており、重い馬場に全くノメることなく、自分も驚くほどの完勝でした。テンションが高めなので少し間隔を空けることになりますが、同時に成長を促せればもっともっと良くなりそうな馬です。
この土曜は新潟で7鞍に騎乗します。 7Rのコスモレペティールは常にもうひと押しという競馬が続いています。ただ、コース問わずに頑張ってくれる馬で、崩れそうな天候はむしろプラスに出るはず。8Rのモーンストルムは能力ある馬なのですが、気難しいところがあって、自分からヤメてしまう面が課題。1200mへの距離短縮を利して、気持ちを途切れさせないように走らせてあげたい。
9Rのマイネルプリンチペは中間も順調にきていると聞いており、引き続きの1600m。道悪もこなしてくれるので、より力が入るタイミングです。10Rのコスモリモーネの前走は休み明けもあったのだと思います。強い相手に揉まれてきた経験があり、1400mの道悪はマッチしてくれそう。この条件でキッカケを掴みたい。12Rのマイネルイヴィンスは園田3連勝で中央に戻ってきてくれました。自分は未勝利を勝たせることができなかったのですが、こういった形でまた乗せていただけることを嬉しく思います。かつては強行軍になってしまった分もあったので、去勢されたことと相まって、フワッとするところが改善されていれば十分に通用すると思います。
日曜も新潟で5鞍に騎乗します。 3Rのコスモサンレミの初戦は思っていたような走りで力を出してくれました。使った上積みも見越しており、改めて頑張ってくれるはず。5R(2歳新馬)のマイネルリリーフは何週か追い切りに乗せてもらっています。いい素質を持っていますが、まだ少し体に緩さがあるので、そのあたりが実戦でどう出るか。次に繋がるレースを意識しながら、現段階でどこまでやれるか楽しみです。
6Rのムーニーヴァレーは、この中間の動きが凄くいいと聞いています。ダート戦から芝の千直となりますが、スピードもあるので上手くマッチしてくれませんか。7Rのアドアステラは行き脚がつかない競馬が続いているので、少しでも展開が向いてほしいところ。そんな中でも堅実に追い込んでおり、かみ合えば勝ち負けの力はあります。12Rのマイネルテナシャスも前半の進みが課題。ここ2戦で手の内に入れており、新潟コースで馬場の助けもあれば食い込めていい馬です。
ここ2週のコラムで話題にし、自分としても楽しみにしていた新潟競馬場への一部入場再開ですが、新型コロナウイルスの感染拡大傾向によって取りやめとなり、引き続き無観客で行われます。安全に競馬を実施していくことが第一なので、こればかりは仕方ありません。JRAが柔軟に対応してくれていることが、むしろ英断とすら思います。そんな状況下に慣れていいリズムで乗れているので、今週もいい結果をお見せできるように集中して臨みます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。