一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
有観客となる次開催に向けて
2020/10/1(木)
先週はコスモミローディア(7人気3着)が最高着順。馬体こそ20キロ増えていましたが、パワーアップしていた印象で、それが終いの脚に繋がったのだと思います。今までとは違う追い込む形で結果が出たのは先に向けても大きかった。マイネルボーダレス(5人気5着)は調教で時計が詰まらない状況でデビューも、いい意味で実戦タイプでした。使ってまだまだ良くなっていく感触なので、次走が楽しみです。
この土曜は中山で2鞍に騎乗します。 4Rのマイネルヒッツェは初戦から期待していたのですが、馬が戸惑っている感じで流れに乗っていけず。あの経験を馬が覚えていて気持ちさえ入ってくれば、大きく変われる能力を持っています。8Rのホウオウモントレーの前走は所々で嫌気を出しながらもよく頑張ってくれました。使っていくと後ろ向きになってしまう面があるので、気持ちを乗せながら、このタイミングで勝ち負けに持ち込みたい。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。2Rのマイネルレイヨンはデビュー前から調教に乗っていました。初戦こそ動きを思えば案外でしたが、使った上積みとコース替わりで前進させてあげられるはず。4Rのカイトレッドは初めてのダート戦(1800m)。半年以上の久々ですが、状態さえ整っていれば変われそうな舞台だと思っています。6Rのヒカリトップメモリは初めて乗りますが、キャリがあって堅実そうな馬。レースまでによく研究して、違った面を引き出してあげたい。7Rのマイネルコロンブスは自分で競馬を作れるタイプではありませんが、使う毎に状態を上げてきました。馬場と展開がかみ合えばここに入ってもと思っています。
感染状況を見つつ臨機応変な対応があるかもしれませんが、来週からの東京・京都・新潟のそれぞれの開催で、事前に指定席を購入されたお客様限定ながらも入場が再開されるとJRAから発表がありました。秋華賞には登録しない方向となりましたが、スマイルカナも3週目の富士Sを予定しており、ついにファンの皆さんの前で競馬ができるのかと思うと胸が高鳴ります。ここまで問題なくきており、来週あたりから自分が追い切りに乗って動かしていく予定。今週日曜はスプリンターズS、夜には凱旋門賞があるので、騎乗ならずともビッグレース観戦で気持ちを盛り上げておくつもりです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。