一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
温かい拍手が馬場まで届きました
2020/10/15(木)
東京開幕週は勝てずとも新馬が頑張ってくれました。コスモクーシェリ(8人気4着)は調教で乗っていた感触と一緒で、凄く素直で操縦性が高かった。初戦とすれば申し分のない内容で、次走が楽しみになりました。マイネルニゲラ(4人気5着)も上手く競馬してくれましたが、テンションが高くなっており気が小さいところもあるので、そのあたりが次にどう出るか。状態的な上積みはまだまだ見込めます。毎日王冠のワンダープチュック(10人気8着)は気持ちが前向きで乗りやすかった。オープンでも十分に通用する馬ですが、さすがに今回はメンバーが強すぎたという印象。いい経験にはなっているはずで、この先も機会があれば乗せていただきたいです。
この土曜は東京で8鞍に騎乗します。 2Rのフジツボノミヤの初戦は思っていた以上に頑張ってくれました。使って良くなったと聞いているので、もうひとつ前進させてあげたい。3Rのコスモコラッジョは連闘になりますが、芝も走れる馬で、スタートが上達しています。好位につけて流れに乗れれば前進が見込めます。6Rのキングキャラットの前走は1700mが長かった。久々だった2走前の雰囲気からも、一度使ったほうが走れるイメージ。状態さえ整えば1勝クラスでもやれるはずですが、今回は空いた間隔が気になっています。
7Rのコスモオリの前走は、1800mでもコーナー4つの競馬が忙しく、今回の舞台のほうが合っている印象。未勝利勝ちもあるコースで改めてと思っています。8Rのマイネルステレールは5ヶ月振りの久々を叩いて前進が見込めそう。2歳時の新馬以来となる騎乗なので、もう一度研究し直して臨みたい。9Rのニーヨルは新馬を勝ってから合う番組がなかったため、ここまで待機した格好。坂路中心ながら乗り込みは十分なので、1勝馬同士かつ距離延長で腕試しの気持ち。砂を被ったこともないので、まずは次に繋がる競馬をしてあげたい。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。1Rのコスモチョコラトルは道悪だとノメって走れないので、なるべくキレイな馬場でやらせてあげたい。今週の天気は気になるところです。4R(2歳新馬)のアララトは追い切りに乗せていただいていますが、まだ体の使い方が途上。競馬を使いつつ芯が入ってきてくれればと思っています。5R(2歳新馬)のカタラズも今週の追い切りに乗せていただきましたが、とても素直で跳びの大きな馬。一生懸命で乗り難しいところもないのですが、大型馬なので使ってからのほうがより動けそう。現時点でどこまで走れるかは楽しみです。11Rのマイネルファンロンは重賞に入ってから苦戦も、自分が別の馬に乗った今週の併せ馬では、いい動きをして調子が良さそうでした。オープン特別なら3走前に掲示板に来ているので、少しでも着順を上げられるように頑張りたい。
先週は久々の有観客開催となりました。無観客が当たり前となりつつあったので嬉しくも新鮮で、メインレース後の上がりではお客様の拍手が届いて、懐かしい気持ちが沸き上がりました。しかし、馬場から見るスタンドはまだまだ疎らで、年末に向けて少しずつ競馬場に日常が戻ってきてくれることを願います。そして、来週の富士Sにはスマイルカナがスタンバイ。1週前追い切りは目一杯の負荷をかけましたが、しっかりとした反応で体重も減らずにきています。当週は軽めという、いつもの仕上げ方に徹する予定。最終調整後の感触は改めて来週に書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。