一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
富士Sはスマイルカナに騎乗
2020/10/22(木)
先週はマイネルステレール(8人気3着)が最高着順。時計がかかる馬場もマッチしてくれましたが、凄くスタミナがあって、距離はあればあるだけ良さそう。次に繋がる内容だったと思います。マイネルファンロン(12人気4着)は跨ったと同時に好調さを感じて、良かった頃に戻っている手応えがありました。これまで強いメンバーと戦ってきており、オープン特別なら必然の走りだったと思います。まだまだ頑張ってくれそうな感触を得られました。
この土曜は東京で6鞍に騎乗します。 富士Sのスマイルカナは京成杯AH2着後も順調にきて、1週前に負荷をかけて当週軽めという従来のパターンでいい具合に仕上がりました。涼しくなってきたことで元気一杯なのが何より、それでいて落ち着いています。相手こそ強くなりますが、小細工なしにこの馬のレースをするだけ。ずっと重賞で戦っていくわけですから、目途を立てる以上の結果を出したいというのが本音です。10Rのマイネルアンファンは使って良くなっていくタイプで上積みが見込めます。東京2100mも合うので、軽量52キロを活かしてキッカケを掴みたい。12Rのアオテンは2勝クラスに入って苦戦していますが、ワンターンのコースは合うイメージ。かみ合う流れになってくれることに期待して末脚を活かしたい。
日曜も東京で10鞍に騎乗します。2Rのマイネルグロンはデビュー前の追い切りにずっと乗っていました。当時は緩さもありましたが、2戦目の前走は血統らしい良さが出てきたという印象。捌きやすい少頭数も合いそうなタイプなので頑張りたい。6Rのマイネルレンカは休み明けですが、年齢的に衰えたようなところは一切ありません。脚の使い所ひとつだと思っています。9Rのレオンドーロはかねてから相手なりに頑張ってくれるタイプ。間隔こそ空いていますが力を出してくれるはず。かつて重賞で乗せていただいたことがある馬でもあり、そこからの成長を楽しみにしています。
10Rのマイネルラフレシアは自分からレースを作れない弱みはありますが、かみ合えば2走前が示すとおりに力はあります。流れる展開を待ちつつ最後にしっかりと脚を使わせてあげたい。11Rのマイネルユキツバキは暑さに強くない馬で、思えば良績も涼しくなってからに集中しています。今の感じから距離延長もマッチするはずで、期待して臨むハンデ戦です。12Rのコスモビスティーは時計面に限界があるので、馬場状態が気になるタイプ。週中の天気予報のまま、馬場が乾いてくれることを期待したいです。
最後にエーデルワイス賞で4着だったラストリージョ(3人気)についても振り返っておきます。このレースはとにかく勝ち馬が強かった。結構なペースを止まる素振りもなく、直線でまた突き放されましたからね。まだまだ良くなる余地を残している中で頑張ってくれており、いい経験になったと思います。久々の門別競馬場でしたがグンと気温が下がっており、無観客競馬と相まってなかなかシビアでした。11月3日にJBC2歳優駿が行われますが、乗りやすいコースで馬にとっては力を出しやすい環境。素晴らしい試みだと思いますので、ファンの皆さんにも盛り上げてほしいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。