一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アルテミスSはユーバーレーベンに騎乗
2020/10/29(木)
先週はレオンドーロ(5人気3着)が最高着順。休み明けで少し余裕があると聞いていましたが、いい内容で頑張ってくれました。函館滞在で本当に力をつけたなという印象。使ってまた上向いてくれるはずなので、次走が楽しみになりました。富士Sのスマイルカナ(2人気10着)は競馬なので仕方ありませんが、思っていたようなレースをさせてもらえなかった。ただ、あれだけ競られても直線半ばまで頑張ってくれて、オッと思った瞬間があったことも確か。しかし、この先もああいったことは有り得ますので、競馬の幅を考えなくてはいけない時期がきたと捉えたい。悔しいですが、自分にとってもいい教訓になりました。
この土曜は東京で7鞍に騎乗します。 アルテミスSのユーバーレーベンは3週続けて乗せていただき、ゲート練習などもこなしています。前走は競馬で難しさを出したということですが、調教ではとても乗りやすくて反応がいい馬。普段どおりにレースへ臨めるかどうかが鍵になると思っています。マイル戦なのでとにかくスタートに気を付けて、直線で長くいい脚を使わせてあげたい。前走は札幌2歳Sで2着と結果を出していますが、先々を占う意味でも力が入ります。2Rのコスモクーシェリの初戦は申し分のない内容でした。使った上積みと良馬場で前進を期待しています。
3Rのヒットザシーンは初戦で乗せていただきましたが、当時は体に力が入っていない印象でした。使われつつ成長しているようなので、いいところを引き出してあげたい。7Rのアドアステラの前走は雨が降っての不良馬場で追走により苦労しました。今回は待望の乾いた馬場でやれそう。惜しいではなく、何としても勝ちたい一戦です。8Rのレットミーアウトは休み明けを一度使われて上向いてきそう。2走前に乗ってクラス通用の目途は感じており、巻き返せるタイミングだと思っています。
日曜も東京で6鞍に騎乗します。7Rのタイドオーバーの前走は不良馬場に尽きます。道悪が本当に苦手な馬なんです。東京1400mは本来ベストなので、気持ちを乗せて力を出し切ってあげたい。8Rのマイネルステレールは前走然り東京2400mは合っています。願わくば時計がかかってほしいタイプも、引き続きの少頭数でイメージはできています。9Rのスペキュラースも時計がかかってほしい。自分のリズムで運べればしぶといタイプなので、1600mに距離が戻るのはいいと思います。
2週続けて無敗の3冠馬が誕生し、今週の天皇賞(秋)も入場者制限が勿体ないほどの豪華メンバー。新型コロナになかなか歯止めがかからない状況ではありますが、来週からの入場者数緩和はジョッキーとしても朗報。抽選は結構な倍率と聞きますが、競馬場でお待ちしています。そんなコロナ禍であっという間に今期のドラマも最終クール。とりわけ相棒が始まると、ついに来たかという気持ちになります。半沢直樹の後番組の危険なビーナスも原作者が東野圭吾さんとあって面白くなってきそう。例年ならばライブに行って発散もする時期ですが、今年はステイホームで上手く息抜きをしていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。