一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ターコイズSでスマイルカナに騎乗
2020/12/17(木)
先週はカイトゲニー(4人気)で勝つことができました。イメージしていたような行く馬がいない展開となり、途中から無理に抑え込まずに自分のリズムで走らせたのが良かったと思います。一生懸命になりすぎるところがあるので距離は課題になるかもしれませんが、力的には上のクラスで通用していく馬です。レオンドーロ(2人気3着)は勝ち馬が強すぎただけで、崩れずに自分の力は走っています。相手関係や馬場がマッチすれば、いつでも勝ち負けになる段階です。スイートフィル(6人気4着)はまだ周りに気を使って走っていました。使ったことで集中力が出れば、すぐにでも前進できると思います。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。 ターコイズSのスマイルカナは当週の整える程度の調教はいつも通り。先週までにかなり負荷をかけて乗り込んでおり、状態面に関しては申し分ありません。近走に勝るとも劣らず元気一杯で、まだまだ余力が残っています。戦法は決め付けることなく、枠順や相手の出方を見ながら臨機応変に対応していくつもり。ハンデ戦で斤量は前走から1キロ増えますが、得意の中山コースなら十分に相殺できます。今年一年お世話になった馬なので、2020年の締めくくりとなるような内容で結果を残してあげたいと思っています。
3Rのコスモサンレミは少し間隔が空いていた前走は状態面がもう一歩だった印象。使った上積みがあれば、最後の踏ん張りがもうひとつ違うと思います。4Rのフレンドジェイの前走は芝でしたが、自分が乗った感触からもダート向きだと思います。初コースでも中山1800mは合いそうなイメージがあります。9Rのコスモアシュラは速い脚に欠けるところがあり、馬場状態が鍵になります。そのあたりを補うようなアプローチで前進を狙います。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。2Rのマイネルオラトリオの初戦はゲートが悪く、そのあたりから1600mも忙しく感じました。距離が延びてのダート替わりはマッチしそうで、乗り味などからも大きく変わってくれませんか。3Rのキョウエイアップは前走も上手に競馬していたように思います。上手く道中でタメを利かせて、最後にもうひと脚を使わせてあげたい。
4Rのイザニコスの初戦は、次に繋がるという意味では申し分のない内容。2回目でテンションさえ上がっていなければ前進できる感触があり、直線はごちゃつかない進路へと導いてあげたい。7Rのラキウラは一回使って、今週の追い切りでも上積みを感じました。前走で中央1勝クラスに目途が立ったので、コース替わりでもいい競馬をしてあげたい。8Rのトッカータはとにかく流れが向いてくれるかどうか。前半リラックスして走らせられれば、最後はいい脚を使ってくれる馬です。
10Rのアルミューテンは格上挑戦だった前走はさすがに厳しかった。今回は自己条件に戻ってのハンデ戦で52キロ。自分の形でレースができれば、もっと粘れていいと思います。11Rのコスモカレンドゥラは今週の追い切りに乗せていただきましたが、馬にヤル気があって体のハリも前走以上。3勝クラスを勝っているコースでもあり、このメインも力が入ります。12Rのソスピタの前走はテンションが高く、続けて使われて嫌気をさしている部分があったかもしれません。いいリフレッシュさえできていれば、2勝クラスも突破できる馬だと思っています。
平日の水曜は川崎競馬場にて行われた全日本2歳優駿でラストリージョ(10人気8着)に騎乗してきました。やりたかったレースこそできたものの、ヨシッと思ったタイミングで脚が上がってしまいました。確かにメンバーも強かったのですが、敗因が距離なのか状態面だったのか見極めたいところ。それでも、馬にとってはいい経験になったと思います。今年の2歳ダート路線は地方馬のレベルが高く、競馬場に活気を感じて、自分もいい刺激を受けています。交流重賞に挑む機会もより増やしたいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。