一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
クイーンCはカイトゲニーに騎乗
2021/2/11(木)
先週も勝つことができず、マイネルスキーブ(7人気2着)が最高着順。初めての東京コースでしたが、むしろしぶとさを活かす競馬ができました。勝ち馬こそ強かったものの、よく2着争いを凌いでくれました。コスモコラッジョ(5人気3着)は距離延長にも対応して、上手に立ち回ってくれました。このレースも上位2頭が強すぎましたが、自分の力は出し切っていると思います。コスモアディラート(6人気3着)はスタートも良く上手に走れて、初戦とすれば申し分のない内容。南半球産でとても背中がいい馬。これからが本当に楽しみです。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。クイーンCのカイトゲニーは2ヶ月振りのレースですが、調教に乗せていただいた感じは良かったです。左回りが合っておりしぶとく脚を使ってくれるので、コースには対応してくれるはず。重賞のメンバーに入ってどこまでやれるか、力関係につきるところだと思います。1Rのカラハリは、休み明け2戦目の前走で時計差なしの2着。1ハロン延びる今回は流れにも乗りやすくなるはず。改めて勝ち負けを意識したいですね。
2Rのアナザーヴィータは以前に比べると調教でも大分走る気が出てきました。集中力を途切れさせずに2100mを走らせられれば、差がない競馬になると思っています。4Rのアドアステラは使い詰めできていたので、むしりいいリフレッシュになったのではないでしょうか。どうしても自分で競馬を作れるタイプではありませんが、流れが向けばいつ突き抜けてもいい末脚を持っています。9Rのマイネルステレールは東京2400mも合っており、毎回一生懸命に善戦してくれます。あとひと押しを利かせられるように工夫して乗ってあげたい。
日曜も東京で4鞍に騎乗します。5Rのコスモマインは今週、走路調教再審査があり、何も問題なく合格したので競馬に向かいます。調教では全く気を抜くようなところはないものの、競馬で余裕を持って抜け出すとああなってしまうことがあるのです。最後まで集中力を途切らせない乗り方で勝利を目指します。地力がある馬なので、初めての東京コースはむしろ合うのではないでしょうか。6Rのボーイズオブサマーは去勢して3戦目。安定して走れるには少し時間がかかるかもしれませんが、前走は着順ほど悪い内容ではありませんでした。もうひとつ前進させてあげたい。
7Rのコスモクウは久々がどう出るかですが、かなりスタミナがあるので2400mに延びるのは歓迎。この条件で、クラスに目途が立つ競馬ができればと思っています。9Rのレオンドーロは前走の勝ち方が良かった。昇級とはいえ牝馬限定戦で、どんな舞台でも相手なりに頑張ってくれるタイプ。調子もいいので、引き続き期待して臨みます。
招待制のアプリ、Clubhouseが凄い話題ですね。先週、高田潤騎手も自身のコラムで書いていましたし、聞けば関西のジョッキーはすでに活用しているとか……。不思議と美浦よりも栗東のほうが流行りに乗るのが早いんですよね。コロナ禍ではファンサービスに面白いツールなのかもしれませんし、自粛期間中にリサーチしてみようかと思っています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。