一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
フィリーズレビューはブルーバードに騎乗
2021/3/11(木)
先週は2着が2回も、なかなか勝利に手が届かず苦戦しています。2戦目のコスモアディラート(3人気)は落ち着いており、競馬も上手にしてくれました。逃げた勝ち馬を交わせなかったことだけが残念ですが、勝利に一歩近づいた内容だったと思います。コスモヨハネ(12人気)は最近で一番の着順でしたが、かねてから年齢的な衰えはなく、かみ合えばこのくらいは走ってくれる馬です。まだまだやれることが証明できたので、どこかでもうひとつ勝たせてあげたい。
ウィズザワールド(1人気)は人気にもなっていたので強気な競馬をさせました。結果として勝ち馬は強かったですが、しっかりと勝ちに動いた分で最後交わされての3着。少しずつ馬も良くなっており、次走に繋がる敗戦だったと思います。マイネルレンカ(11人気3着)は絞れて体が良くなっていましたし、やりたかった脚をタメる競馬ができた。ああいった乗り方を続けて、2勝目を掴んであげたいです。
この土曜は中山で3鞍に騎乗します。1Rのバンブトンローズは未勝利で掲示板もある馬ですが、使いながら上向いていくタイプで休み明けの分がどうか。次に繋がるような内容にしてあげたい。5Rのコスモマインは前走の疲れを取って万全の態勢。中間も続けて乗せていただいており、上手くゴール板前で先頭に立てるよう、タイミングを計って勝たせてあげたい。何が何でもという意気込みです。10Rのタイキサターンは初めて乗せていただきますが、続けて使えるローテはいいですね。ハンデ戦でもあり、良かった頃のレースを研究して臨みます。
日曜は阪神で2鞍に騎乗します。フィリーズレビューのブルーバードは新潟2歳S以来ですが、追い切る毎に状態が上がっています。今週は速い時計を出すつもりもなかったのですが、自然に出てしまったという感じ。桜花賞トライアルで相手は強くなりますが、この馬の乗り味もなかなかのもの。1400mが一番合っていると思いますので、十分にやれるという感触です。7Rのサイファーシチーは金曜朝の調教に乗せていただいて感触を掴みます。今週は除外や番組の関係で頭数が少なくなりましたが、より集中してひとつでも上の着順を目指します。
今日(3月11日)で東日本大震災から10年が経ちました。美浦の調整ルームでゆっくりしていたところを凄い揺れが襲ってきて、色んな物が落ちてくる中で慌ててテレビを押さえた記憶が昨日のことのようです。競馬においてはその間に色々な出来事がありましたが、奇しくも今春の福島開催が余震とされる地震の影響を受けて新潟開催に変更となりました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますと同時に、次の福島開催こそはファンの方々の前で騎乗できることを楽しみにしています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。