一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
日経賞はナイママ、マーチSはマイネルユキツバキに騎乗
2021/3/25(木)
先週はマイネルヒッツェ(4人気2着)が最高着順。馬場も展開も上手くマッチしたのですが、直線だけで差され、流して勝たれてしまったように相手が悪すぎました。3着馬を3馬身半離しているのに、さらに3馬身前にいるのですから脱帽です。マイネルマーティン(8人気4着)は心身共に幼いところがあるため、気を抜かさない競馬をさせたのが良かった。次に繋がる内容にはなったと思います。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。日経賞のナイママは一連の状態をキープしており、追い切りの動きも良さそうだった。AJCCで道悪もこなしており、時計がかかる馬場になりそうなのは歓迎。距離延長と相まって前進を見込んでいます。1Rのウィズザワールドの前走は人気になっており勝ちに行く競馬をしての3着でしたが、徐々に力をつけています。まだ上積みはあるはずで、改めて勝ち負けを意識しています。3Rのアナザーヴィータは今週ウッドで追い切りましたが、馬はしっかりしています。あとは気持ちひとつ。集中力を途切れさせずに走らせられれば、勝ち負けになっていい段階です。
4Rのマカラプアは先週の追い切りに乗せていただきました。やはり中山向きという印象を受けましたので、このタイミングで前進させてあげたい。7Rのアドアステラの前走は相手が悪かったことにつきます。展開に左右されてしまうのはいつものことですが、この馬の競馬をして勝利を目指したい。12Rのマイネルアムニスは10ヶ月半の休み明け。元来が使いつつ良くなっていくタイプ。中身に余裕がある感じなので、今回に関しては少し割引きかもしれません。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。マーチSのマイネルユキツバキは使いつつ、本来の走りを取り戻してきました。前走もいい勝ち方でしたよね。よーいドンの瞬発力勝負になると分が悪いので、自分から動いて行けるような淡々とした展開になってほしい。3Rのコスモゲイダーグは初めてのダート替わりが向いてくれませんか。素質を感じる馬なので、適性ひとつで走ってくれると思います。5Rのヒットザシーンは続けて追い切りに乗せていただいています。時計的にはしっかり動けており、久々でもこの馬の力は出せそうな態勢です。
7Rのマイネルレンカは前走のように脚をタメられる展開が理想。乗り方としての感触は得たので、改めて楽しみにしています。9RのスウィートブルームはフラワーCを除外になっての仕切り直し。休み明けを2回使って本来の動きを取り戻しており、自ずと力が入る自己条件。今週の追い切りもいい動きでした。10Rのレオンドーロも先週除外になっています。幸い少頭数かつハンデも53キロなので、条件的にはむしろ良かったかもしれません。久々のマイル戦ですが、中山の走りがいいので楽しみです。12Rのジャッジの前走は久々で24キロ増。体にも余裕があった気がしますね。一度使ってのブリンカー着用がいいほうに向いてくれればと思っています。
3月19日、岡田繁幸さんが亡くなりました。何週か前に電話で500勝のお祝いをしていただいたばかり。言葉では表せないくらいの存在であり、驚きとショックで受け入れられていない自分がいます。
繁幸さんとは本当にいい思い出しかないのですが、何年か前の真冬にビッグレッドファームへ調教に乗りに行った際、大雪で手がかじかんで動かなくなってしまったんです。ストーブでお湯を温めて待っていてくださって、そこで焼いてくれた焼き芋を食べながら語り合った何気ない瞬間が思い出されます。そんな優しくて人情味に溢れる方でした。今週のナイママ、来週(ダービー卿CT)のスマイルカナと、この勝負服で乗れる機会もあと僅か。4月5日に静内エクリプスホテルでお別れの会があるので、何としてもいい報告を持っていきたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。