一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ダービー卿CTはスマイルカナに騎乗
2021/4/1(木)
先週はヒットザシーン(8人気)で勝つことができました。レース直前で雨が強くなって馬場状態がかなり重くなったのですが、全く脚を取られずにスイスイ走っていました。マイネプリンセスの仔は段々と力をつけていくので、体力がついてきたタイミングでもあったと思います。日経賞のナイママ(15人気14着)は悪くないタイミングで動いて行けたのですが、思ったほどの粘りがないまま失速。実績ある北海道で仕切り直すという話なので、今夏も頑張ってくれると思います。マーチSのマイネルユキツバキ(10人気10着)は前半から時計が速く、ハンデを背負っていたこともあり、終始手応えがありませんでした。中京、阪神と遠征が続いていたので、微妙にそのあたりが影響したのかもしれません。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。ダービー卿CTのスマイルカナは約3ヶ月半振りの実戦。これだけ間隔が空くのは新馬を使った後以来なのですが、動き自体は久々を感じさせません。1週前にビシッと追って、今週は息を整える程度のいつもどおりの調教でしっかり仕上がったと思います。牡馬相手で55キロのハンデですが、ここ目標のフレッシュさがいいほうに向いてくれませんか。2Rのグルナピークは休み明けの2走前に乗りましたが、当時は気持ちが入っていないような走りでした。前走で進みが違っていたので、この3走目はより状態が上がっているはず。あの感じなら距離短縮も合いそうで、改めていただけたチャンスに力が入ります。
5Rのコスモクロシオの初戦は集中力に欠けるところがありました。そこから一度使ってのコース替わりで、どこまで競馬慣れしているかだと思います。6Rのバンブトンローズの前走は、休み明けで速い時計の流れに戸惑ってしまった印象。もっと相手なりに頑張れるはずなので、乾いた馬場なら巻き返せると思っています。9Rのマイネルステレールは少頭数かつ中山の荒れた馬場で競馬がしやすくなるはず。常に一生懸命に走ってくれる馬ですが、今回もいい舞台だと思います。
日曜も中山で2鞍に騎乗します。7Rのバルトフォンテンは初めて乗せていただきます。長い休み明けがどうかですが、いい時は1勝クラスで勝ち負けの競馬をしているんですよね。コースも合いそうなので、よく研究して最善を尽くします。10Rのコスモヨハネは年齢的な衰えなく元気一杯で、上手く脚がタマれば前走くらいは走れます。より今の馬場は合うと思うので、あとは少しでも流れが向いてほしい。
先週も記しましたが、来週月曜の4月5日に静内エクリプスホテルで岡田繁幸さんのお別れの会があります。何としても繁幸さんの勝負服で勝って、いい報告を持っていきたいと思っており、ダービー卿CTは本当に大切な一戦になります。新型コロナは第4波とも言われており予断を許しませんが、今週は中山でもお客様の入場があります。現地で声を出して応援いただくのは難しい状況ですが、精一杯の走りをしますので、競馬場でテレビの前でファンの皆さんも背中を押していただければと思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。