一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アイビスサマーダッシュはアルミューテンに騎乗
2021/7/22(木)
福島最終週は2頭で2着も勝ち切ることができず。サバイバルアート(13人気)は先生からスタートに課題があると聞いていたものの、上手に出て理想的なポジションを取ることができました。最後までしっかり走っており、成長力も見込める血統なので、この先が楽しみになる初戦でした。マイネルグロン(3人気)は地力を信じて自分から動く競馬をしましたが、勝ち馬が強かった印象の1馬身差。コース選ばずのタイプなので、次走こそは決めてあげたい。コスモフロイデ(16人気4着)は芝の走りがマッチしての好走も、まだ能力を隠し持ってそうな感じ。気持ちが散漫な面が改善していけば、遠くないタイミングでチャンスがやってくると思います。
開幕週の土曜は新潟で3鞍に騎乗します。2Rのマイネルアルザスの初戦は悪くない内容の6着でした。真面目で一生懸命に走ってくれる馬で、状態的な上積みも見込んでいます。5R(2歳新馬)のコスモガラクシアは今週の追い切りに乗せていただいて、仕上がりの良さを感じました。適性面で掴みきれないところはあるものの、気持ちが前向きで初戦から走れるタイプだと思います。7Rのエイメイカカンはレースで初めて跨ります。デビュー戦(3着)以降の成績こそ案外ですが、当時とシチュエーションが被る番組で頑張ってくれませんか。
日曜も新潟で3鞍に騎乗します。アイビスサマーダッシュのアルミューテンの調教は毎回厩舎にお任せてしていますが、今週も調子が良さそうな追い切りでした。千直競馬に対応できるスピードはあるので、願わくば外めの枠順が欲しいところです。6R(2歳新馬)のシナモンスティックは追い切りに続けて乗せていただいていますが、癖がなくて真面目で一生懸命に走ってくれるタイプ。スピード一辺倒ではないので距離には対応できそうですが、1400mでも十分に力を出せるイメージを持っています。12Rのアルママは長期休養明けを使って、もうひとつ調子が上がってきました。暑さにも堪えず、本当に元気一杯。心身共に成長してくれており、とにかく結果を出すだけというタイミングです。
明日(金曜)の開会式に先駆けてソフトボールやサッカーで熱気を帯びていますが、いよいよ東京オリンピックが開幕します。自分が最も注目している種目はと言うと、実はチケットを持っていたパラリンピックの馬術ですね。JRA騎手の後輩でもある高嶋活士を応援しています。かつて競馬ラボでコラムを連載されていた元調教助手の宮路満英さんにも頑張ってほしい。競馬で経験してきた身として無観客になってしまったのは残念ですが、アスリートの気持ちが分かる分だけテレビの前で全力応援をしたいと思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。