一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
新馬で嬉しい勝利でした
2021/12/2(木)
東京最終週はコウキ(3人気)で勝つことができました。調教で色々と工夫してきたことが思っていた以上に結びついてくれた格好。東京マイルの新馬で勝てるということは疑いようのない地力があるということ。思い入れがある一頭なので、次走も頑張りたい。というのも、岡田繁幸さんが買われて期待されていた馬で、亡くなる直前まで牧場で熱心に調教をご覧になっていたそうです。本来なら繁幸社長の勝負服でデビューしていたはずだったので、この勝利を見てくださったかなと目頭が熱くなりました。
アドアステラ(9人気4着)は休み明けでも2勝クラスに目途が立ったと胸を張れる内容でした。適鞍へ出走可能となる次走が楽しみです。フォーチュネイト(9人気5着)も上手に走れて頑張っています。今回は先着された馬達が強かったので、相手関係ひとつという段階にきているように思います。
開幕週の土曜は中山で3鞍に騎乗します。12Rのラストリージョは芝で続戦となります。斤量が54キロに増えてしまうこともあり、工夫をこらして乗ってきたい。1年前を思えば、キッカケひとつ変われる馬だと思います。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。4R(2歳新馬)のラブミードゥはゲート練習から乗せていただいており、なかなか仕上がりが進んでいます。素直で一生懸命に走ってくれる馬で、追い切りの感触も良かったです。7Rのセイカヤマノの前走は休み明けが堪えたのだと思います。一度使った効果と得意としている距離に戻れば、本来の走りをしてくれるはず。8Rのコスモオリは休み明けを使って中山コースに替わるのは大歓迎。本来の状態なら2勝クラスでも差がないはずの馬だと思っています。9Rのマイネルジェロディは有難い2度目の依頼。昇級緒戦になりますが、3勝クラスでも十分にスピードは通用するはず。前回の騎乗でいい競馬ができなかったので、当時の反省を活かした巻き返しに力が入ります。
たくさん乗せていただいた東京最終週と中山開幕週は出馬ラッシュで除外なども出たことがあり、今週は頭数的に谷間にあたってしまいました。土曜の新馬2頭は調教に跨っていないこともあって、感触を示すことできずすみません。今開催は3週目のターコイズSにスマイルカナが予定しており、近くなったらお伝えしますが騎乗が待ち遠しいレースもあります。終わりよければとなるように、年末に向けて勢いをつけていくつもりです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。