一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
スマイルカナの引退が決まりました
2022/3/17(木)
先週はアオイゴールド(1人気)が最高着順。前走もハナに行っており前々で競馬をするのが常だったのですが、今回は立ち遅れ気味のゲート。結果としてペースが速くなったので上手くリカバリーできて、直線も馬場のいい所を走ってくることができました。クビ差2着に敗れはしましたがレースの幅が広がって、先々に向けての引き出しは増えたと思います。中山牝馬Sのスマイルカナ(13人気15着)は状態も良く、道中は教えてくれたことが実になりつつ、どうしても最後に頑張ろうという気持ちが馬になくなってしまいました。ここで走ってくれれば現役続行の道もあったのですが、時期的にも納得がいく引き際になったと思います。繁殖牝馬としていい活躍をしてくれると思うので、産駒にも乗れるように自分は長く現役生活を続けたいですね。
この土曜は阪神で4鞍に騎乗します。 8Rのマイネルエンカントは8頭立ての少頭数で2000mもマッチしそう。乗り方ひとつで上位を狙えると思っています。10Rのフォースオブウィルは先週中山を除外になってこの番組。前走はハンデ戦と東京コースがかみ合わなかった感じもあるので、2走前に頑張ってくれた1200mで巻き返したい。
日曜は中山で5鞍に騎乗します。1Rのクロミチャンは2週続けて追い切りに乗せていただきました。経験馬相手の初出走なので何とも言えないところもありますが、動きはとても良くて、これが新馬戦であれば勝ち負けになるだろうという感触。ともあれ牝馬限定戦で期待しています。2Rのラブミードゥの初戦は、正直なところもっと頑張れると思っていました。依然として調教は動いているので、いい感触を実戦に繋げてあげたい。
3Rのコスモガラクシアは気持ちひとつで成績にばらつきがあるタイプ。今回は調教からブリンカーを着けており効果がありそうなので、集中して走ってくれれば変われて不思議ありません。5Rのシャノワールの前走は内容がある休み明け緒戦でした。使った上積みと同じコースの続戦で前進できるはず。8Rのコスモスタックは先行力があって東京なら中山向きというタイプ。コース替わりで前進に期待しています。
祝日開催の月曜も中山で4鞍に騎乗します。1Rのミニョンルミエールの前走は勝ち馬に上手く立ち回られてしまいました。いつも自分の力は出し切ってくれるタイプなので、ここで決めてあげたいという一心です。2Rのサパテアールは反対に馬自身との戦い。中1週でも調教の動きは抜群なので、最後まで気持ちを途切れさせず走らせてあげることに注力します。6Rのガトーフレーズはもっと走れそうな馬ですが、そのイメージに結果が伴っていない感じ。ダートなら芝向きだとは思うので、そろそろキッカケを掴んであげたい。7Rのマイネルパリオートは昨年勝たせていただいた以来の久々。先週の追い切りに乗せていただきましたが、相手なりに力を出してくれそうな仕上がり。昇級でどんな緒戦になるのか楽しみにしています。
今週の土曜日、3月19日は岡田繁幸さんの一周忌になります。もっと目を輝かせながら色んな話を聞かせていただきたかったなと、なかなか懐かしい気持ちにはなれません。オークス後に斤量50キロで快勝した時は物凄く喜んでくださって、自分にとってはそんな思い出込みで米子Sがスマイルカナのベストレースです。そして、昨晩(16日)はあまりの揺れで飛び起きました。3月11日に東日本大震災の黙祷を捧げたばかりですが、この度の大地震の被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。ウクライナ戦争ばかり気になっていましたが、日本も常に災害に備えておかなければならないと改めて思いました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。