一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勢いに乗りたい東京開幕の3日間開催
2022/10/6(木)
何としてもの意気で臨みましたが、中山最終週は2頭の3着が最高着順。それでもコスモバラタ(9人気)は調教と今までやってきた競馬が結びついて、よく頑張ってくれました。クライノート(6人気)も一戦毎にレース内容が上達して、教えたことをしっかり覚えてくれています。使いつつ体力もついてきて、いよいよ初勝利を意識できる段階まできました。
開幕週の土曜は東京で7鞍に騎乗します。1Rのワクワクルンルンは連戦の疲れが出たので立て直しました。フレッシュな状態に戻っているので、状態面と牝馬限定戦で前進を見込んでいます。2Rのビップスコーピオンの初戦は急遽乗せていただきましたが、凄く一生懸命に走っていました。体力面がもうひとつという印象だったので、一度使った上積みが期待できそう。
5R(2歳新馬)のマイネルパーヴェルは続けて追い切りに乗せていただいていますが、体力面がまだ途上な印象。レース慣れと相まって、使いつつ力をつけていくタイプかもしれません。7Rのマイネルデステリョは久々に乗せていただきます。馬も休み明けですが自在性があるので、いい面を引き出して次走に繋げてあげたい。
9Rのマイネルステレールは毎回一生懸命に頑張ってくれるのですが、前走は緩い馬場にノメっている感じがありました。開幕馬場ならしっかり走れるはずなので、上手く乗ってひとつでも上の着順を目指したい。12Rのチョコレートミルクは今週の追い切りに乗せていただきました。悪い動きではありませんでしたが、地方から戻って緒戦なので、ペースに慣れていくことからでしょうか。
日曜も東京で1鞍に騎乗します。4R(2歳新馬)のマイネルナラティヴはレースで初めて乗せていただきます。とりわけ新馬の場合、先入観を持たずに臨むことがプラスに出ることもあるので、直前に厩舎から話をお聞きして返し馬の感触とでプランを考えます。
祝日開催の月曜も東京で4鞍に騎乗します。1Rのマイネルアラウダは一戦毎に時計を詰めて内容も良くなってきました。距離を詰めることもいいほうに向きそうなので、改めて前進させられると思います。
2Rのコマチザクラの前走は、攻め馬の感触こそ良かったものの、競馬に行くと舞い上がって力を出し切れていない印象でした。落ち着いて臨めるかがポイントですが、中2週の間隔はプラスに出ると思います。9Rのスズノイナズマの前走はスタートで躓いてしまったのが敗因です。馬場は乾いてほしいタイプですが、東京2100mで流れに乗っていければあそこまで負ける馬ではありません。
日曜夜はワクワクしながら凱旋門賞を観戦しましたが、直前の雨が日本馬にとって痛かったのではないでしょうか。今年の4頭はタイプもそれぞれで、展開ひとつで上位独占のシーンがあるのでは?と感じていたのですが甘くないですね……。とりわけ応援させてもらったタイトルホルダーは血統も向かないわけではないはずなので、想像を絶するような馬場なんだろうなと思いました。機会があれば挑戦したジョッキーや関係者に日本の競馬との違いをリサーチしたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。