一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
引き続き東京開催で乗っていきます
2022/10/27(木)
先週は初めて乗せていただいた馬達が頑張ってくれました。ピュアブレンド(6人気3着)は乗り味がとても良くて、いい背中をしていました。ゲートの中でガタガタしていたもののスタートを決めることができて、速い時計に対応して最後までしっかり脚を使っています。3勝クラスを勝つのも時間の問題ではないでしょうか。
スノーグレース(13人気4着)は難しいところがありつつも、調子は凄くイイと聞いて臨みました。気分を害さないように外めを意識しながら乗ったのが良かったと思います。オランジー(10人気5着)は芝スタートで行き脚こそつきませんでしたが、ダートの走りは良かった。最後まで諦めずに頑張っており、ダートの適鞍であれば前進が見込めます。
この土曜は東京で3鞍に騎乗します。3Rのコスモアンテロースの初戦は行き脚がつかなかったので、2戦目で気持ちと体がかみ合っていてほしいところ。流れにさえ乗っていければ、前走ほど負けるイメージの馬ではありません。
4R(2歳新馬)のピリカノンノは2週続けて追い切りに乗せていただきました。今週の動きのほうが良かったものの、まだ非力な印象はあります。使いつつ上向くタイプかもしれません。9Rのトップスティールは2連勝中。前走は上手くいっていましたが、本来モマれたくないタイプなので、距離が戻るのはいいと思います。スタートを決めて、2走前のようなイメージで流れに乗せてあげたい。
日曜も東京で6鞍に騎乗します。2Rのイルルージュはデビュー前の調教に乗せていただいたことがあります。初戦は周りの馬が暴れており、釣られてゲートで出遅れてしまった格好。敏感なところがあるので、あれは不運だったと思います。スタートを決めれば自ずと前進できるはず。3Rのピペルの初戦は1600mで忙しい感じがありました。距離が延びるのは歓迎で、もっともっと走れていい感触がある馬です。
5R(2歳新馬)のスタニングは今週の追い切りに乗せていただきましたが動きは良かったです。ただ、環境の変化に戸惑うところがありそうので、初戦は気持ちの部分が課題になります。レース慣れすれば走ってきそうな馬です。7Rのジョットは笠松からの再転入緒戦ですが、調教の動きは悪くありません。気持ちが焦ってしまう面を感じるので、次にも繋がるように走りを教えてあげたい。
今週から何年か振りに短期免許で複数の外国人ジョッキーが日本で騎乗します。東京競馬場で騎乗している自分にとっては強力なライバルが増えるので歓迎とは言い切れませんが、今年は初来日のジョッキーもいて、とりわけ刺激を受ける開催になりそう。自分は外国語を喋れないので接点があまりないのですが、彼らに総じて言えるのは調整ルームなどでもオドオドしないというか、経験から繋がっているメンタルの強さを感じます。技術も然り、目を光らせてプラスになる面を研究していきたいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。