一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
すっかりいつものリズムです
2023/1/12(木)
3日間開催はヒットザシーン(5人気2着)が最高着順。強いメンバーではありましたが、今回も最後に脚をしっかり使えて、力をつけているところを証明できたと思います。クラスに目途が立って、もう組み合わせひとつという段階です。リネンスピリット(6人気3着)も続けて好走できて力があるところを見せてくれましたが、どうしてもスタートが上手ではないんです。前半の位置取りの課題を解消させつつ、東京コースは合いそうだなと思ったりしています。
アルママ(2人気13着)はスタートで隣の馬にぶつけられて、地面にハナが付くくらいバランスを崩してしまいました。そのタイミングで脚を踏んで落鉄し、怪我をしてしまったことで全然ハミを取ってくれず。不幸中の幸い、大きな怪我ではなかったので、次の中山を目標に立て直すことになりそうです。人気にしていただいたのに申し訳ない結果となってしまいました。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。1Rのダイナマイトレディは追い切りに乗せていただいて、2度使った分で素軽くなっていました。前走でダート適性を見せており、時計を詰められそうな感触があります。今度は牝馬限定戦なので頑張ってくれるはず。
3Rのサワヤカサワチャンの前走は、着順こそ悪くもしっかり競馬をしています。もう少し気持ちが乗ってくれれば、あそこまで負けるイメージの馬ではありません。8Rのコウキの前走は長い休み明けだったので仕方ありません。この中間は順調に追い切りを消化できており、ダート替わりで新味を出せればと思っています。
9Rのコウセイマリアは追い切りに乗せていただいて素軽い動きでした。前2走からもスタートが課題で脚をタメていく競馬になりそうですが、牝馬同士の自己条件なら展開ひとつではないでしょうか。12Rのマイネルオーサムは、もともと未勝利を芝で勝たせてもらいました。手の内に入れている馬なので、特徴を活かして現級にも目途が立つ内容にしたい。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。5Rのイノは追い切りに乗せていただいて、小柄ながら強い気持ちを感じました。ストライドの大きい走りをするので距離延長とコース替わりがマッチしてくれませんか。
6R(新馬)のエイシンセブンも追い切りに乗せていただいて、敏感ながらも素質を感じました。実戦にいって自分を忘れずに走ってくれれば、初戦から頑張ってくれそう。パドックや返し馬のムードがカギになるかもしれません。9Rのコスモカルナックは右回りを得意とする馬なのですが、これまで自分が乗った2戦は左回りの東京コース。1年振りの実戦がどう出るかも、今回はベスト条件なので楽しみにしています。
例年よりも間隔が詰まっていて、調教と競馬でバタバタの4日間が終わりました。勝てなかったのだけは残念ですが、ジョッキーとして充実のお正月だったとは思います。今週はすっかりいつものリズムに戻っており、早い段階で勝って気持ちを楽にしたいものです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。