一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勢いそのまま東京開幕週
2023/1/26(木)
中山最終週はペリプルス(9人気)で勝つことができました。一戦毎に馬が競馬を覚えてきており、まさにこうなったらいいなと思い描いていた展開になったと思います。距離はもっと延びてもと感じるくらいスタミナがあって、荒れた馬場にも全くノメらなかったので迷わず狙ったインがスイスイ空いて、勝つ時はこんなに上手くいくものなんだなと改めて勝利の味を噛みしめました。
オブリクア(15人気4着)は調教の感触どおりでした。小さい馬なので荒れた馬場に脚を取られて勝負所は反応が鈍ってしまったものの、最後まで諦めずに頑張ってくれました。広いコースの良馬場での走りが本当に楽しみです。初めて乗せていただいたマイネルカーライル(8人気4着)は上手に立ち回ってくれました。決め手比べで劣ってしまったものの、今後も常に展開ひとつでチャンスがありそう。
開幕週の土曜は東京で12Rのマイネルニコラスに騎乗します。自分が乗った4走前は体質が弱く鼻出血などもあって結果に繋がりませんでしたが、復帰後は一戦毎に内容が良化中。コースも合っていると思うので、もうひとつ前進させてあげたい。
日曜も東京で4鞍に騎乗します。1Rのリネンスピリットは人気がなかった初戦がフロックではなかったことを前走で示してくれました。とにかく課題はゲートになりますが、距離延長かつコース替わりはマッチしそう。流れに乗せていく競馬が理想も、スタートで遅れてしまった場合のリカバリーを念頭に置いて臨みます。2Rのビップスコーピオンは一戦毎に力を付けつつも、ここのところ砂を被るのをかなり嫌がっています。今回はパシュファイヤーを着けてみるので、その効果とコースや枠順がかみ合ってくれれば能力的には何ら引けを取りません。
3Rのヒラリーステップは体質面が強くなりつつ頑張れるようになってきました。再度の牝馬限定戦とコース替わりに期待しています。9Rのフェアエールングは精神面の成長がカギになりますが、上手に走って自分の力さえ出せれば全然通用する馬。改めていただけたチャンスを結果に繋げたいです。
今週は寒波が美浦トレセンでも強烈でした。とりわけ水曜追い切りのコンディションは凄まじく、気温は当然のマイナスで風が強くて直線は全く馬が進まないような状況。前日夜に雪が降ったので、その影響で下が凍ってチップもシャーベット状となりシャリシャリしていました。総じて時計がかかっているはすなので、調教での見極めは難しいかもしれません。美浦でここまで凍えたのは記憶になく、何年か前に北海道のビッグレッドファームで一頭乗ったら体が動かなくなり、岡田繁幸さんに焼き芋をいただいた時のことがよみがえりました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。