一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
待っていた福島開幕週
2023/6/29(木)
東京最終週はインテンスシチー(6人気3着)が最高着順。どうしてもゲートの駐立に問題があってスタートが良くないのですが、展開が流れたにしても後方からいい脚を使っています。この時期になって一戦毎に成長しているので、そろそろ何とかしてあげたい。コスモシャングリラ(4人気4着)もしっかり脚を使ってくれつつも、1600mに短縮したことで距離は忙しい印象がありました。厩舎サイドとベストの条件を模索しつつ、適鞍を見極めていきます。ベルウッドアラシ(11人気5着)はブリンカー効果で前向きさが出ました。キッカケになるようなレースができたと思います。
開幕週の土曜は福島で5鞍に騎乗します。3Rのエクメディゴールドは間隔を空けてのレースになりますが、馬体が減っているのが少し気になるところ。調教では問題ないのですが、輸送と相まって当日の気配がカギになりそうです。
6R(2歳新馬)のコスモビオラは続けて追い切りに乗せていただいており、ここまでしっかりと負荷をかけてきました。凄く前向きな気性で素直なので、現時点における力は出してくれると思います。8Rのマイネルサンテは交流勝ちしてから続戦したかったのですが、なかなか頭数が多い条件につき、ここでの昇級緒戦になります。ただ、そんな間に気持ちが小さい面が緩和されつつあるので、スムーズな競馬さえできれば能力面では引けを取らないはず。
9Rのペリプルスはクラスが上がってからも相手なりに走れており、間隔を空けたことがプラスになってくれそう。初めての舞台になりますが、このコース(芝2600m)は合うと思います。10Rのミシシッピテソーロは、NHKマイルC(7着)後はこの開幕週を目標にしっかり追い切りをこなしてきました。斤量面に恩恵がある3歳牝馬で、ここまですっと重賞で戦ってきましたからね。結果を出したい自己条件になります。
日曜も福島で3鞍に騎乗します。1Rのマイネルガンナーの初戦は追っ付けどおしになってしまったので、中間は馬具を工夫して調教に負荷をかけてきました。2戦目の上積みとコース替わりで一歩前進に期待しています。
2Rのアユは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、気持ちが入りすぎる面を感じています。一息で走ってしまいそうなところをなだめつつ、秘めたる能力を引き出してあげたい。4Rのエクトゥシュタールの前走は、ずっと頑張ってきた目に見えない疲れがレースで出たのだと思います。リフレッシュしたこの中間は嫌々走る面が解消されているので、改めて力を見せてくれるはず。
今週から3時起床で、調教が一番早い時間の5時乗りになりました。毎年この時期になると夜に寝付けず、あっという間に目覚ましが鳴って、暑さと相まって体調管理が重要になります。とりわけ気温が上がった今週は7時くらいでかなり暑く、馬もハーハーと肩で息をして苦しそうでした。また、坂路閉鎖による混雑は各厩舎の工夫によって緩和してきて、水曜に比べると木曜はガラガラなんです。綺麗な馬場で走れて、ごちゃごちゃせずに馬もイレ込まないので、木曜の上手な使い方が肝になりそうな気がしています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。