一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
2歳戦が楽しみな週末
2023/10/26(木)
先週日曜は夏以来の新潟騎乗でしたが、朝は10度くらいしかなく、一気に寒くなっていて驚きました。ローカル開催なので若手が多く、やはり主場の東京で前日に乗っているとジョッキー目線で競馬が全然違います。目立つ結果には結びつきませんでしたが、馬場を見つつ工夫を凝らして自分なりに納得できるレースもありました。
この土曜は東京で7鞍に騎乗します。1Rのダイゴリュウジンの初戦は水の浮くような馬場でもよく頑張ってくれました。今週は乾いた馬場でやれそうで、使った上積みも見込めそうなタイプ。前進を見込んでおり、楽しみにしている2戦目です。
3Rのパーセルペーパーも初戦は調教どおりの走りをしてくれました。ただ、テンションがかなり高くなっていたので、今回も当日の気配は気になるところ。中間の調教は工夫していますが、パドックから返し馬とどれだけ落ち着かせてレースに臨めるかがカギになりそう。4R(2歳新馬)のウインパルファンは続けて乗せていただいていますが、とても素直で一生懸命な馬。体付きに幼さがあって良くなる余地を残しつつも、現時点でやるべきことをこなしてのデビュー戦です。
6Rのヨシオドライヴは4走前に1200mで乗せていただきました。当時はかなり追走に苦しんだので2100mはプラスに働きそう。前回もしっかり脚は使えていたので、この初距離で新味を出せませんか。9Rのマイネルオーサムの前走は速いダートが合わなかったのだと思います。芝ダートは問わないので、時計のかかる馬場で集中力を途切れさせないように乗って前進させてあげたい。
日曜も東京で3鞍に騎乗します。1Rのフローティンローズは初戦3着後も順調にここまできています。集中力が途切れるタイプなので、競馬を経験したことはプラスに出るはず。自分としてもいいイメージで臨める、結果を出したい2戦目です。
4R(2歳新馬)のシェリングフォードは素直かつ癖がない馬でしっかり乗り込んでいます。まだ非力感こそありますが、現段階でどこまで頑張れるか楽しみです。5R(2歳新馬)のヤルダバオトは乗り込み十分で、調教の動きもいいですね。この馬のお母さんは勝たせてもらったことがあるパラノーマル。思い入れもあって気合が入っています。
今週は豪華メンバーの天皇賞(秋)で、11年ぶりの天覧競馬です。ジョッキー目線でも楽しみなレースですが、いつも以上に時間や駐車場所などに制限が入って、とても緊張感が漂う一日になります。ファンの皆さんも手荷物検査などがあると思いますが、安全にレースを盛り上げて、語り継がれるレースを見届けてください。僕の出番は早い時間ですが、思い出に一役買いたいものです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。